「実家が空き家になっているが、このままだとどんなリスクがあるのだろう」「空き家対策でおすすめの方法を詳しく知りたい」とお考えではないでしょうか?
親が亡くなった後に実家が空き家になっても、相続した人が必ずしも住むことができるとは限りませんよね。しかし、空き家のままにするとさまざまなリスクが発生します。まずは、どんなリスクがあるかを理解し、適切な対処をすることが必要です。
そこで今回は、空き家のリスクについて詳しく解説します。
この記事を読むことで、空き家のリスクを避ける方法がよく分かります。まずは、記事を読んでみてください。
1.空き家問題とは?
最初に、空き家問題とはどんなものか見ていきましょう。
1-1.空き家が急増している
近年、空き家の増加が社会的な問題になっています。空き家が急増している主な原因は、核家族化や都市部への人口集中などです。2013年に総務省が実施した住宅・土地統計調査によると、空き家の数は約820万件にもおよんでいます。この数字は、20年前の1983年と比較して1.8倍であることからも、空き家の増加が深刻なことが理解できるでしょう。中には長年放置された物件も多く、さまざまな問題を抱えていることから早急な対策をする必要があります。
1-2.住人が亡くなった後に住む人がいない
持ち家は、親が亡くなれば子どもに相続されます。しかし、子どもにとって必ずしも家の相続は喜ばしいことではありません。たとえば、実家から遠く離れた場所で就職・結婚している場合、相続した家に住むことができないからです。特に地方では、親が亡くなった後、相続が済んでも実際に住む人がいなくて空き家になってしまうケースが多く見られます。
2.空き家を放置するリスクは?
空き家を放置する主なリスクについて見ていきましょう。
2-1.資産価値が下がる
空き家を放置すると、資産価値が下がります。家は、放置しているだけでもさまざまな理由で傷むからです。たとえば、換気不足・掃除不足といった理由で、不衛生になりカビが生えたり害虫が繁殖したりします。また、庭木の手入れをしないため、伸び放題になってしまうことでしょう。手入れが行き届いていない家は、買い手が付きにくいため資産価値が下がって当然です。
2-2.倒壊する危険がある
空き家を放置すると、傷んでも適切な修理ができないため、倒壊する危険が高まります。特に数年以上放置した家は、震度5程度の地震や台風による強風などでも倒壊する可能性があるので注意してください。家が倒壊すれば大きな損害になるだけでなく、近隣にも深刻な被害を与えることがあります。場合によっては、賠償責任が発生することもあるでしょう。
2-3.ゴミや不用品を不法投棄されやすい
ゴミや不用品を不法投棄されやすいのも、空き家を放置するリスクの一つです。空き家を放置すると、持ち主が不在なのをよいことに、マナーがない人や悪質業者に目を付けられてしまいます。気が付いたころには、ゴミや不用品で庭がいっぱいになっていることもあるでしょう。また、悪臭や害虫の繁殖などの問題で近隣からクレームが入る原因にもなります。
2-4.街の美観を損ねる
空き家を放置すると、街の美観を損ねることも問題です。道路がキレイに整備され、手入れが行き届いた住宅街でも、空き家が1件あるだけで台無しになります。周囲がキレイな家であるほど、空き家の雑然さが目立つことでしょう。街の美化を進めるに当たり、空き家問題は避けられない問題といえます。
2-5.治安が悪化する
治安が悪化することも、空き家を放置することの深刻なリスクといえます。空き家であることが知られると、不審者が侵入したり住みついたりしてしまうからです。空き家で犯罪行為を働くケースも否定できません。治安が悪化すれば、近隣住民が安心して生活できなくなり、空き家だけでなく周辺地域の資産価値が下がるのもデメリットです。
2-6.不審火が発生しやすい
空き家を放置することで、不審火が発生しやすいのも大きな問題です。空き家であることが放火魔に知られると、ターゲットにされやすくなります。また、タバコのポイ捨てなどによる火災も心配です。空き家が火災になると発見が遅れることが多く、被害が広がる恐れがあります。近隣へ延焼してしまう可能性も高いでしょう。
2-7.空き家対策特別措置法の対象になることがある
空き家を放置すると、空き家対策特別措置法の対象になり、以下のようなデメリットが発生することがあります。
- 固定資産税の優遇がなくなり最大で6倍の負担になる
- 強制撤去の対象になる
空き家問題は、政府も深刻な問題であると以前から認識しています。今後も、ますます厳しい対策が行われることが予想できるため、空き家を放置することは大きなリスクであるといえるでしょう。
3.空き家を所有するリスクは?
空き家を所有するリスクにはどんなものがあるのでしょうか。
3-1.固定資産税が発生する
空き家を所有し続けると、毎年固定資産税が発生します。住んでいない家の税金を支払うのは、大きな無駄です。特に、空き家でも何らかの理由で評価額が高い場合は、固定資産税も高くなります。特に、都市部で人気の立地だと、土地の評価額がびっくりするほど高騰しているケースもあるでしょう。十分な貯金や資産がなければ、高額な固定資産税を払い続けるのは困難です。
3-2.管理費用がかかる
空き家を所有すれば、何かと管理費用がかかります。定期的に手入れをするにしても、水道が使えない状態では困るので、毎月水道代を支払うことになるでしょう。また、経年などの理由で、何もしなくても家が傷むため、場合によっては補修が必要になることもあります。管理費用をかけても空き家を維持するべきか、じっくり考えてみるとよいでしょう。
3-3.相続問題が発生する
空き家であっても、所有し続ける限り財産の一つです。そのため、所有者が亡くなれば子どもなどに相続されます。しかし、相続される人にとっても、空き家を所有し続けるのは大きな負担になるでしょう。移住することができる人ならまだしも、思わぬ相続によって希望しない財産を受け継ぐのは困るだけです。
4.空き家問題を解決する方法は?
空き家問題を解決する方法を詳しく解説します。
4-1.定期的に手入れする
空き家を所有し続けるのなら、定期的に手入れをすることが大切です。人が住まなくなった家は、傷みを防ぐためにも、こまめに換気をしたり庭木の手入れをしたりする必要があります。また、定期的に手入れをしていれば、所有者がきちんと管理していることをアピールすることが可能です。すると、不法侵入や不審火などを防ぐことができ、近隣への迷惑も予防できます。
4-2.空き家を賃貸に出す
空き家を手放す予定はないが有効に活用したいといった場合は、賃貸に出すのもおすすめです。内装や外観をリフォームする必要はありますが、借りる人が見つかれば家賃収入を得ながら維持することができます。ただし、立地や間取りなどの条件によっては、なかなか借りる人が見つからないこともあるでしょう。幅広い人が借りやすいように、家賃を安くしたり保証人を不必要にしたりするなどの工夫が必要です。
4-3.空き家を売却する
空き家問題を解決するには、売却してしまうのが手っ取り早い方法です。売却してしまえば、固定資産税も管理費用も負担しなくて済むようになります。ただし、売却するにしても立地などの条件によっては、想定以上に安い価格を提示されたり、なかなか買い手が現れなかったりすることもあるでしょう。また、売却が済むまでは、固定資産税や管理費用を支払い続けることになります。
4-4.空き家バンクを活用する
空き家バンクを活用するのもおすすめです。空き家バンクでは、空き家の所有者と借りたい人をマッチングさせています。自治体や自治体から委託された企業が運営していることが多く、営利目的ではいことなどが特徴です。ただし、現時点では知名度・利用率共に低く、すぐに借り手や買い手が見つかる保証はありません。
4-5.更地にして土地を活用する
空き家を取り壊して更地にし、土地を活用することも考えてみましょう。周囲に車を利用する人が多い場合は、駐車場にするのもよい方法です。更地にすれば、手入れが簡単になるのも大きなメリットといえます。また、更地にすれば空き家付きの状態よりも売却しやすくなるため、相続で子どもに負担をかけたくない人にもおすすめです。
5.空き家に残った家財を処分する方法は?
空き家に残った家財を処分する方法を詳しく解説します。
5-1.自治体回収にゴミとして出す
空き家に残った家財で不要なものは、自治体回収にゴミとして出すことができます。自治体ごとの回収ルールを確認し、きちんと分別してから出してください。なお、以下のものは自治体回収に出すことができないため、そのほかの方法で処分しましょう。
- 家電リサイクル法の対象品目:洗濯機・冷蔵庫・エアコン・テレビ
- パソコンリサイクル法の対象品目:パソコン・パソコン用モニター
メリット
- 処分費用が無料もしくは格安
デメリット
- 集荷場所まで運ぶ手間がかかる
- 集荷日時・集荷場所が決まっている
- 粗大ゴミは事前連絡が必要になることが多い
- 一部の家電やパソコンなどはゴミに出すことができない
- まだ使えるものでも廃棄処分となり資源が無駄になる
5-2.不用品回収業者に処分してもらう
空き家の家財は、不用品回収業者に処分してもらうことも可能です。不用品回収業者では、回収後の不用品を再販もしくは再資源化して有効活用してもらえます。空き家の家財は大量にあることが多いので、日時と場所を指定して出張回収を依頼すると便利です。まずは、見積もりをもらって検討してみてください。
メリット
- 大量の家財も1回の依頼ですべて処分できる
- 仕分けや集荷場所まで運搬する必要がない
- 時間や労力をかけずに片付けられる
- 都合のよい日時・場所を指定できる
- 買取になるものがあれば処分費用と相殺できる
- 家電リサイクル法やパソコンサイクル法の対象品目も処分してもらえる
デメリット
- 出張回収は回収費用が1回に付き数千~数万円程度かかる
5-3.リサイクルショップに買取してもらう
比較的新しい家電や家具などは、リサイクルショップで買取してもらえる可能性があります。買取を希望する場合は、業者の店頭に持ち込んで査定を受けましょう。なお、店頭に持ち込むための車両は自分で用意することになります。
メリット
- 買取後は中古品として再販されて有効活用できる
- 査定から代金受け取りまで即日で完了する
- 大量に買取査定を依頼することも可能
デメリット
- 査定金額が安い
- 買取不可の場合は引き取り処分も依頼できない
- 業者の店頭に持ち込む手間がかかる
5-4.ネットオークションやフリマアプリで売る
家財をネットオークションやフリマアプリに出品して売ることもできます。たとえば、マニア向けの趣味のコレクションなど、リサイクルショップで評価するのが難しいものなどを売るのにおすすめです。ただし、取り引きの流れが独特なので、普段から出品し慣れている人に向きます。
メリット
- 自分が売りたい価格を設定できる
- リサイクルショップなどで買取不可になったものも出品できる
- 落札した人に喜んで使ってもらえる
- ネットオークションはタイミングによって思わぬ高額落札もある
デメリット
- なかなか落札されないことがある
- こん包や配送に手間がかかる
- 支払い遅延や商品クレームが起こりやすい
- こまめな状況チェックとやり取りが必要
- 出品数が多いと管理が大変
6.空き家のリスクに関するよくある質問
最後に、空き家のリスクに関する質問に回答します。それぞれ役立ててください。
Q.空き家にはどのくらいの頻度で手入れするべきか
A.空き家の近くに住んでいて通いやすい環境にある場合は、週に1回程度手入れするのが理想です。しかし、現実には数か月に1回が限度、という人も多いでしょう。なかなか通うことができない場合は、業者に依頼して庭木だけでも定期的に手入れしてもらうことをおすすめします。
Q.一人暮らしの親が施設に入居する際、家財の整理はしたほうがよい?
A.はい。施設入居に伴う引っ越しでは、多くの場合で再び家に戻ることはありません。空き家になる前に、親と一緒に家財の整理をして極力ものを減らしておくことをおすすめします。
Q.近隣の空き家でスズメバチが発生して困っているのですが?
A.空き家の所有者に連絡して、すぐに対処してもらいましょう。空き家の所有者が分からない、所有者は分かるが連絡先が不明などの場合は、自治体の担当窓口に相談してみてください。なお、慣れていない人がスズメバチを駆除するのは危険なのでやめましょう。
Q.空き家を取り壊した後も残るリスクには何がある?
A.土地を売却しないで所有し続ける場合、以下のようなリスクが残ります。空き家を取り壊した後も放置せず、何らかの手入れや活用が必要です。
- 雑草が伸び放題になり景観が悪くなる
- 害虫が繁殖することがある
- タバコのポイ捨てやゴミの不法投棄の心配がある
Q.空き家を売却した年の固定資産税は支払わなくてもよい?
A.固定資産税は、その年の1月1日時点の所有者が支払うことになります。したがって、空き家を売却した後に固定資産税の請求書が届くことになるでしょう。ただし、空き家を売却する際に売買契約書で固定資産税の負担割合について定めておけば、次の所有者と日割り計算により公平に負担することができます。詳細は、仲介の不動産業者などから説明を受けるとよいでしょう。
まとめ
今回は、空き家のリスクについて詳しく解説しました。空き家を所有し続けるのにも、さまざまなリスクが伴います。空き家のリスクを避けるには、きちんと手入れをして資産価値が下がらないようにしたり、賃貸に出したり売却したりすることなどを検討してみてください。最もいけないのは、空き家のままで何もせずに放置してしまうことです。ボロボロに傷んだ空き家を所有し続けるのはリスクが高過ぎるので、近隣の迷惑を考えても早めに対処することをおすすめします。