引越しの際には借りていた部屋をきれいに掃除する必要があります。掃除をきちんと行わなければ、ハウスクリーニング費用が敷金から差し引かれる可能性もあるのです。敷金を全額返還してもらうためにも、退去時の掃除について知っておく必要があるでしょう。

「もうすぐ引越しを予定している」「退去時の掃除について知りたい」「どの程度掃除すれば敷金返還に影響しないのか?」そんな人たちは、ぜひ参考にしてみてください。

  1. 退去時に行う部屋の掃除について
  2. 敷金返還に影響する必要清掃ポイント
  3. 借り主の負担にならない汚れについて

1.退去時に行う部屋の掃除について

1-1.大掃除程度の掃除をしておこう

賃貸物件を退去する際は、できるだけ部屋を掃除してきれいな状態で明け渡すのが基本です。もちろん、退去後にハウスクリーニングが入って部屋を掃除してくれる場合がほとんどでしょう。しかし、全く掃除せずに退去しようとすると敷金から掃除費用が差し引かれてしまいます。「部屋を借りていた」という感謝の気持ちをこめて、念入りに掃除してから明け渡すのがおすすめ。通常の使用範囲で付いた汚れは、敷金から差し引かれることはありません。

ただし、汚れ具合によっては大きなマイナス対象になることも。敷金返還のトラブルを避けるためにも、退去時の掃除は大掃除程度に行っておくようにしましょう。ゴミの始末はもちろん、床や水回りはきれいに水拭きをして、目立った汚れを残さないようにしてください。

1-2.壁や天井も念入りに

特に、壁や天井の掃除は念入りに行う必要があります。ハタキや乾いた布を使ってホコリをしっかり落とすようにしましょう。汚れが付着している場合は、住居用の洗剤を水で薄めて拭いてください。お子さんのいる家庭なら、壁などにクレヨンで落書きされた汚れが付いていることもあるでしょう。クレヨンは油性なのでアイロンで溶かすと簡単に落とすことができます。落書きの上に布を当て、低温にしたアイロンを押し当ててみてください。布に溶けたクレヨンがうつり、後は住居用の洗剤でさっと拭くだけです。

柱や壁に釘(くぎ)で穴を開けてしまった場合は、穴を埋めておく必要があるでしょう。

1-3.水回りのしつこい汚れには?

退去時の掃除で最も面倒なのが、水回りです。特にキッチンのしつこい油汚れを落とすのは大変な作業でしょう。簡単にできる方法として、汚れた部分に霧吹きで水を吹きかけ、小麦粉を手で貼り付けてみてください。小麦粉が油を吸い取ってくれるため、後は布で拭き取るだけです。換気扇などの取り外せるものは、洗剤を薄めた水につけ置きしておきましょう。サビが発生してしまったステンレス部分には、酢とクリームクレンザーを混ぜたものでこすると効果的に落とすことができます。

また、排水管が詰まってしまった場合は、重曹を排水口から入れてみてください。上から熱湯をかけると、詰まりがきれいに落とせます。

1-4.窓やバルコニー掃除には?

窓をきれいに掃除しておくと部屋全体がきれいに見えます。窓は布で拭いてもなかなかきれいにならないため、掃除に困っている人は多いでしょう。

そこで、おすすめしたいのが新聞紙。水にひたした新聞紙で拭くだけできれいになります。バルコニーがある場合は、ほうきで掃いて水で流しておきましょう。

退去時には家中を一通り掃除しておいたほうがいいんですね。
はい。そうすれば印象もよくなります。

2.敷金返還に影響する必要清掃ポイント

2-1.キッチン

キッチンの汚れをそのままにしておくと敷金返還に影響する可能性が高いでしょう。チェックポイントは以下のとおりです。

  • シンク周りの汚れは落としたか
  • 排水口のゴミはそのままになっていないか
  • 換気扇、レンジフード、ガスレンジの油汚れはある程度拭き取ってあるか
  • 後付けしたタオル掛けやキッチンペーパーホルダーなどは取り外して入居時の状態に戻しているか

特に、シンクは白い「もや」ができて汚れている場合があります。全体がきれいに見えるように、シンクはピカピカな状態にしておきましょう。酢やクエン酸の希釈液を使ってスポンジでこするのがおすすめです。換気扇はフィルターを外し、食器用の中性洗剤とスポンジで油汚れを除去しましょう。フード全体を雑巾で拭き掃除してください。

2-2.浴室

浴室にカビが生えた状態だと印象が悪くなります。カビは日常的に注意していれば防ぐことができるものです。生えてしまっている場合は、できるだけ取り除いておきましょう。

  • 壁や床、天井、排水口のカビはなるべくきれいにしてあるか
  • 排水口周りに髪の毛などが残っていないか
  • 天井の換気扇カバーに付着した汚れは拭き取ってあるか

以上をチェックしておきましょう。落ちにくいカビは、市販のカビ取り剤をかけた上にラップで湿布してつけ置きしてから落とすと効果的です。浴室は天井まできれいかどうかチェックされる場合が多いため、換気扇カバーも取り外して洗っておきましょう。

2-3.トイレ

自分では見落としがちな汚れが多いのがトイレです。

  • トイレの便座にホコリなどの汚れが残っていないか
  • 便器の中はきれいになっているか
  • カバーやスリッパなどの置き忘れはないか

すみずみまでチェックしてください。

手が届かない細かい部分は、使用済みの歯ブラシを使って掃除すると効果的です。ぬれた雑巾で拭いた後に乾いた雑巾で拭き上げれば、水滴の跡を残さずきれいに仕上げることができます。便器の中は、クエン酸や酢をスプレーしてスポンジでこすってください。トイレットペーパーホルダーやタンクの蛇口部分も、ピカピカにしておくと全体がきれいに見えます。

清掃することで敷金が返ってきやすくなるんですね。
はい。細かいところも見逃さずに掃除しましょう。

3.借り主の負担にならない汚れについて

国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」に基づき、以下のような場合は借り主の負担になることはありません。

  • テレビや冷蔵庫を置いていた壁面の黒ずみ
  • エアコンを設置したときの穴や跡
  • 日焼けによるクロスの変色
  • 畳の変色やフローリングの色落ち

以上は、経年変化や通常に使用した結果の汚れです。
きれいにならなくても、敷金から差し引かれる心配はないでしょう。

完璧にキレイにする必要はないんですね。
はい。経年劣化は問題ありません。

まとめ

引越しで賃貸物件を退去する際には、掃除についてもしっかり考えなければなりません。どこをどうやって掃除しておく必要があるのか、きちんと知っておく必要があるでしょう。そうすることで、敷金返還のトラブルを避け、気持ちよく引越しを済ませることができるはずです。