現在、全国に空き家が急増しています。持ち家をやむを得ない事情で空き家にしている、という方も多いことでしょう。持ち家を空き家にする場合は、中にある荷物の整理し、定期的な見回りなどの管理をする必要があります。どうやって家の中にある荷物を片付け、空き家を管理しやすい状態にすればよいのか頭を悩ませている方もいるでしょう。
そこで、今回は空き家を効率よく整理する方法について、解説します。

  1. 空き家問題の基礎知識
  2. 空き家の整理方法
  3. 空き家の管理方法
  4. 空き家整理に関するよくある質問

この記事を読んでいれば、家を空き家にしなくてはならない事情ができた時も、慌てることはありません。持ち家や実家が空き家になってしまい、適切な管理方法を知りたいう方も、ぜひ読んでみてくださいね。

1.空き家問題の基礎知識

はじめに、空き家が急増している原因や、空き家が増えると発生しやすい問題について解説します。どのような問題が発生するのでしょうか?

1-1.空き家が急増している理由

現在の日本では、少子高齢化が進んでいます。家を購入したものの譲る人がいなかったり、高齢者向け施設に入ったりして持ち家が空き家になるケースが増えているのです。また、子どもがいても遠方に住んでいたり別の場所で家を購入したりして、家を受け継ぐ人がいないこともあります。

「売却したり、取り壊したりすることはできないのか?」と思う方もいるかもしれませんが、空き家となってしまう家は築年数30年以上のものがほとんどで、買い手がつきにくいのが現状です。また、建物を取り壊すと固定資産税が一気に高くなり、解体費用もかかるため、取り壊したくても取り壊せないというケースもあります。

なお、空き家は一戸建てだけでなく、マンションでも急増中です。特に、1970年代に建てられたマンションは空き家率が高く、限界マンションとして東京や大阪といった都市部でも問題となっています。

1-2.空き家の問題点

空き家が増えると、

  • ホームレスなどが住みつく可能性がある
  • 放火や窃盗など、犯罪の標的にされがち
  • 庭や建物内がゴミの不法投棄現場となる可能性がある
  • 古くなった空き家は倒壊の可能性があり、危険である
  • 庭の植物などが繁殖しすぎて、近隣の迷惑になったり景観を損ねたりする

ざっと挙げるだけでも、このような問題点が出てきます。また、長年空き家となっている物件の中には、持ち主と連絡がつかなくなっているケースも珍しくありません。そのため、行政側も住民から苦情を受けても対処ができない、ということが多かったのです。

1-3.空き家対策特別措置法について

空き家対策特別措置法とは、倒壊の危険や衛生上の問題がある空き家を強制的に対処したり、空き家を公共の福祉の増進と地域の振興に使用したりすることができるように定めた法律です。
前項で、長年空き家になっている物件は、持ち主が特定できないことも多いと説明しました。しかし、この法律が施行された2015年以降は、固定資産税の納税記録などから、自治体が持ち主を特定できるようになったのです。

法律では、適切な管理が行われず、倒壊の危険性があったり衛生上の問題があったりする空き家を「特定空き家」と定めています。特定空き家に定められると、行政による指導や、取り壊しなどの強制執行を行うことが可能です。行政の指導を受けても持ち主が特定空き家を放置していた場合、罰金刑や住所氏名の公開・固定資産税の特例対象からの除外などの措置が取られます。
なお、空き家を強制的に取り壊す強制代執行があった場合、解体費用は持ち主に請求され、財産の差し押さえなども行われますので、行政から指導を受けたら速やかに対処しましょう。

2.空き家の整理方法

この項では、空き家を整理するタイミングや整理方法を解説します。どのような時に空き家が発生し、整理が必要になるのでしょうか?

2-1.空き家の基準とは?

多くの自治体では、1年以上電気やガス・水道が使用されず、住む人もいない物件を空き家としています。ですから、いつか戻ってくる予定であっても、1年以上誰も居住する人がいない状況になる場合は、何らかの対処が必要です。

2-2.空き家の整理が必要になる時とは?

  • 持ち主が亡くなり、住む人がいなくなった
  • 持ち主が別の場所に転居し、住む人がいなくなった
  • いずれ住む予定ではあるが、1年以上空き家にすることが確定している

このような場合は、空き家の整理が必要です。

2-3.空き家の整理とはどのようなことをするの?

空き家の整理とは、

  • 荷物の運び出しや不用品の処分
  • 家の掃除
  • 電気・ガス・水道の対処
  • 防かび・防虫・防犯対策

などです。また、人の住まない家は急速に傷みます。上記のような対処をしていても、月に1回は空き家の様子を見に行き、建物内に風を通したり、庭の手入れなどを行うことが必要です。

2-4.空き家を自分で整理する方法

空き家を自分で整理する場合は、通常の引っ越しと同じやり方で家の中を空っぽにしましょう。不用品は捨てたり売却します。必要なものは引っ越し業者を利用して新居やトランクルーム等に運んでください。
家一軒分の荷物を空っぽにするのは時間と手間がかかるので、時間に余裕をもって作業を行いましょう。

どうしても時間がない場合は人手を確保すると作業が早く進みます。ゴミは、事前に連絡をしておけば焼却場へ直接持ち込める自治体も多いので、確認しましょう。

なお、不用品回収業者を利用すれば、不用品を有料で回収してもらえます。大型家具や家電リサイクル法対象家電(テレビ・冷蔵庫・洗濯機・エアコン)なども回収してくれますので、利用してみましょう。

2-5.業者を利用する方法

空き家の整理に利用できる業者には、前述した不用品回収業者や引っ越し業者のほか、クリーニング業者があります。不用品回収業者の中には、持ち主に代わって家の中のものを空っぽにしてくれる業者もありますので、「時間がなくて空き家の整理ができない」という場合は利用してみましょう。特に、遠方の実家が空き家になるので整理したいなどという場合は、便利です。

2-6.注意点

空き家の整理を業者に依頼する場合は、家の持ち主が立ちあわなければならない業者と、立ちあわなくても作業を進めてくれる業者があります。「遠方の家を片付けてほしいのだが、立ちあえない」という場合は、業者選びに気をつけましょう。

また、不用品回収業者の中には格安をうたっておきながら、何かと理由をつけて追加料金を請求するところもあります。まずは見積もりをしっかりと作ってもらい、納得がいくまで説明してもらった上で依頼しましょう。見積もりを作らなかったり作ってもいい加減だったりする業者は、利用しない方がいいですね。

3.空き家の管理方法

この項では、空き家の管理方法を解説します。ぜひ、参考にしてください。

3-1.空き家の管理について

空き家は、人の住む家に比べると傷みが早くきます。最低でも1か月に1度は空き家の窓を開けて空気を入れ替え、定期的に害虫駆除などを行いましょう。庭がある場合は庭木の剪定(せんてい)や草むしりも必要です。

現在は、自治体で空き家の管理をしてくれる業者を紹介してくれたり、インターネット経由で空き家を管理してくれる業者を申し込んだりすることができます。空き家をできるだけ良好な状態で管理したい場合は、業者に管理を依頼してください。

電気やガスは止めておいてもかまいませんが、管理するには通しておいた方が便利な時もあります。状況に応じて判断しましょう。

3-2.空き家を活用したい場合

なお、空き家を賃貸に出したいという場合は、不動産業者と契約を結ぶか、各自治体の空き家バンクを利用しましょう。通常の賃貸は、築浅でないとなかなか借り手がつきにくいものですが、空き家バンクを利用すれば築年数がたった家でも借り手がつきやすいでしょう。

3-3.管理しきれない場合は売却も視野に入れる

土地や家屋は、持っているだけでも固定資産税がかかります。また、空き家を管理する場合は月に5,000~1万円程度の費用が必要です。いくら丁寧に管理をしていても、空き家は傷んでいくでしょう。思い入れがある家の場合は決心がつきにくいと思いますが、特定空き家に指定される前に、売却も視野に入れる必要があります。年に1度、持ち主や血縁者などが集まって空き家をどうするか考えましょう。

4.空き家整理に関するよくある質問

Q.マンションの場合は、閉め切っていても問題はありませんか?
A.いいえ、定期的に空気を入れ替えないと内部が傷みます。

Q.家屋ではなく、物置のようなものが建っている場合でも空き家に指定されるでしょうか?
A.物置がどのようなものかで、判断が分かれます。大きな物置で倒壊の危険がある場合は、特定空き家に指定されることもありますので、自治体に相談してみましょう。

Q.賃貸物件が空き家になった場合も、特定空き家に指定されることがありますか?
A.はい。管理が行き届いていないと指定されるでしょう。

Q.空き家の整理を個人で行った場合、どのくらいの時間がかかりますか?
A.家の規模にもよりますが、2階建ての1戸建ての場合は1週間以上かかることもあるでしょう。

Q.空き家にする場合も、掃除は必要ですか?
A.はい。汚れから傷みが進む場合もありますし、借り手もつきにくくなりますので掃除は行いましょう。

5.おわりに

いかがでしたか? 今回は空き家の整理方法や管理方法について解説しました。空き家の整理は引っ越しにも似ていますが、引っ越しよりも不用品が大量に出ます。不用品回収業者に依頼するなどして、効率よく片付けていきましょう。また、売却したり賃貸に出したりする場合は、築浅である方が有利です。空き家のまま長いこと放っておくよりは、できるだけ早く建物の活用方法を探しましょう。