「親の遺品整理をすることになったけど、遺品を分類する方法を詳しく知りたい」「遺品の分類を効率よく行うポイントは何か」とお考えではありませんか? 遺品整理では、大量の遺品を効率よく分類することが大きなカギになります。しかし、実際にどんなポイントで分類すべきか、どんな注意点があるかなどよく分からないこともあるでしょう。

そこで今回は、遺品の分類について詳しく解説します。

この記事を読むことで、遺品を分類するコツや注意点がよく分かります。遺品整理の予定がある人は、記事を読んでみてください。

1.遺品を分類する前に準備すること

最初に、遺品を分類する前に準備すべきことを確認しておきましょう。

1-1.保存・処分・形見分け・寄付に分類するのが基本

遺品は、保存・処分・形見分け・寄付に分類するのが基本となります。それぞれ詳しく見ていきましょう。

1-1-1.保存

遺品でも、以下のようなものはいったん保存しておきましょう。

  • 相続に関連するもの:現金・預金通帳・株券・借用書・保険証券・不動産の登記書など
  • 亡くなった後の手続きに必要なもの:各種契約書類・年金手帳・健康保険証・パスポート・印鑑など
  • 故人のプライベート品:日記・手帳・手紙・住所録・写真・アルバム類など
  • そのほか:故人の会社や事業関連の書類

また、故人が生前によく愛用していたものなどは、気持ちの整理が付くまで保存しておくことがおすすめです。ただし、もったいないからといってあれもこれもと残すのはやめましょう。分類基準をきちんと決め、ごく少量を残すようにすることが大切です。

1-1-2.処分

遺品であっても、今後使う予定がないものは不用品として処分しましょう。具体的な処分方法については、この記事の「3.遺品を処分する方法」を参考にしてください。なお、遺品でも特に状態のよいものは、廃棄する前に買取してもらうことを第一に考えてみるとよいでしょう。

1-1-3.形見分け

親族に形見分けするものも、きちんと分類しておきましょう。日本では、故人をしのぶ品物を形見分けする風習が昔からあります。特に、親族に高齢者が多い場合は、形見分けして当然とされることも多いでしょう。形見分けする品物としては、故人の思い入れが強い、金銭価値が高い、状態がよいといった条件を満たすものが挙げられます。

1-1-4.寄付

未使用品などで、形見分けの対象外かつ処分するのももったいないといったものは、福祉施設などに寄付することを検討してみましょう。新たな持ち主に有効活用してもらえれば、故人のよい供養にもなります。特に、タオル類や食器類などでまとまった数があると喜ばれるでしょう。そのほかにも、ほぼ新品の電化製品や家具などを寄付できることもあります。

1-2.作業スケジュールを立てておく

遺品を分類する前に、作業スケジュールを立てておくことも大切なポイントです。遺品の分類は、多くの時間と労力を必要とします。そのため、場所ごとに分けて計画的に作業することがコツです。最初に、全体をざっと見て、汚れ具合や物量を把握してください。ひどく汚れていたり物量が多かったりする場所は、遺品の分類に多くの時間が必要になります。適宜休息日や休憩時間を入れつつ無理のないスケジュールを立てましょう。

1-3.必要な道具をそろえてから作業する

遺品を効率よく分類するためにも、必要な道具をそろえてから作業に入りましょう。遺品の分類には、以下のような道具があると便利です。分類道具や掃除道具は、分かりやすく整理してまとめておきましょう。

服装

  • マスク
  • 三角巾
  • 掃除用手袋
  • 汚れてもよい服装

分類道具

  • ゴミ袋
  • ダンボール箱
  • 古新聞紙
  • ビニールテープ
  • マジック

掃除道具

  • 掃除機
  • 雑巾
  • バケツ
  • ちり取り
  • はたき
  • フロアーワイパー
  • 掃除用シート(ウェットタイプ・ドライタイプの両方)
  • 住宅用中性洗剤

1-4.分類する場所の換気をよくしておく

遺品を分類する前に、窓を開けたり換気扇を回したりして換気をよくしておきましょう。特に、長期間手を付けていなかった遺品には、大量のホコリや汚れが付着していることが多く見られます。場合によっては、カビが生えていることもあるでしょう。人によっては、体調を崩したりアレルギーの原因になったりするので注意してください。マスクを必ず着用することも忘れないようにしましょう。

2.遺品を分類するポイント

遺品を分類するポイントをジャンルごとに詳しく見ていきましょう。

2-1.家電

家電は、以下の基準によって分類するとよいでしょう。

  • 年式が新しく問題なく使える:保存・寄付
  • 汚れや傷みがひどいなど難点がある:処分

なお、有名メーカー品で年式が新しいものなどは、不用品として買取に出すことも検討してみてください。

2-2.家具

家具は、多くの場合で処分することになるでしょう。特に、古い家具は傷みが激しく、中古品としても再利用しづらいものが多いからです。また、近年の住宅事情を考えても、大型家具は保存するのも困難なケースが多くなっています。なお、古くても上質な素材を使用している家具や、状態のよいブランド家具などは、買取に出せる可能性があるので調べてみるとよいでしょう。

2-3.衣類

衣類の分類方法は、以下を参考にしてください。大量の衣類は、分類基準に沿って短時間で仕分けるのが効率よく作業するコツです。

  • 使用済みで傷みや汚れが目立つ普段着・下着類:処分
  • 使用済みでも状態がよく思い入れがあるもの:保存・形見分け
  • 未使用品:形見分け・寄付
  • 着物:状態のよいものは保存や形見分け、状態が悪いものは処分

2-4.貴金属類

貴金属類には金銭価値が高いものが含まれているため、取り扱いに気を付ける必要があります。また、相続が関係したり親族から形見分けを希望されたりすることが多く、勝手に分類するとトラブルの原因になりやすいので注意しましょう。もめごとを起こさないためにも親族の同意を得て管理者を選び、分類および管理してもらうことがおすすめです。

2-5.趣味のコレクション・骨とう品

遺品に趣味のコレクションや骨とう品がある場合は、形見分けの品物に分類しておくとよいでしょう。実際に、趣味のコレクションや骨とう品は、形見分けを希望する親族が出てくる可能性があります。大量にある場合は、どんなものがあるか細かくリスト化しておくと便利です。ただし、金銭価値が高いものは、相続税や譲渡税の対象になることがあるので気を付けましょう。

2-6.寝具や食器類などの日用品

寝具や食器類などの日用品では、使用済みのものは処分してください。未使用品については、買取してもらったり寄付に回したりできることがあります。特に、贈答品用で箱に入ったままのものは、買取してもらえる可能性が高いので調べてみるとよいでしょう。なお、寝具や食器類は大量に残されていることが多いので、分類する際は時間に余裕を見ておくことも大切です。

2-7.仏壇・仏具・人形

仏壇・仏具・人形といった遺品は、遺品供養をしてから処分することがおすすめです。仏壇や仏具は、仏具店や寺社に依頼して魂抜きをしてから処分してもらいましょう。人形についても、供養を依頼できる寺社があるので調べてみてください。なお、不用品回収業者の中には、遺品供養と処分を同時に依頼できるところもあるので利用するのもよいでしょう。

3.遺品を処分する方法

遺品を処分する方法を詳しく解説します。

3-1.自治体回収にゴミとして出す

遺品は、自治体回収にゴミとして出すことができます。遺品を素材ごとに分け、自治体の回収ルールに沿って出してください。手間や時間はかかりますが、可燃ゴミや不燃ゴミなどは無料、粗大ゴミでも1個数百円前後で処分できるのがメリットです。ただし、自分で集荷場所に持っていく必要がある、集荷場所と集荷日時が決まっている、粗大ゴミは事前申し込みが基本になるなど、デメリットも多くあります。

3-2.自治体や販売店の回収サービスを利用する

自治体や販売店の回収サービスを利用して遺品を処分することも可能です。たとえば、以下を参考にしてください。

3-2-1.小型家電は自治体に回収してもらえることがある

自治体では、小型家電リサイクル法に基づいて小型家電を回収し、資源リサイクルしています。小型家電リサイクル法とは、対象品目となる家電に含まれる資源を有効活用することなどを目的とした法律です。対象品目は、スマホ・タブレット・携帯ゲーム機・ドライヤー・シェーバーといった比較的小型の家電になります。なお、自治体によって対象品目が異なるので、どんな小型家電を対象にしているのか調べてみてください。小型家電として処分する場合は、役所や商業施設に設置してある小型家電専用回収ボックスに投入すると無料で処分してもらえます。

3-2-2.家電や家具などは販売店の回収サービスを利用できることがある

家電や家具などは、販売店の回収サービスを利用して処分できることがあるので調べてみるとよいでしょう。たとえば、大手家電販売店では、自社の環境活動の一つとして不要になった家電を回収し、リサイクルしています。多くの場合、店頭持ち込みが基本で家電1個に付き500~1,000円程度の費用がかかるのが一般的です。なお、販売店によって回収してもらえる家電の種類が異なるので、注意してください。また、タンスなどの大型家具は、販売店の回収サービスを利用すると、有料でも回収しにきてもらえるので便利です。

3-3.不用品回収業者に処分してもらう

不用品回収業者に依頼し、遺品を処分してもらうことも可能です。不用品回収業者に遺品の処分を依頼すると、以下のようなメリットがあります。

  • 大量の遺品を1回で処分できる
  • 遺品を種類ごとに仕分ける必要がない
  • 都合のよい日時と場所で作業してもらえる
  • 時間と労力の大幅な節約になる
  • 遺品の買取も依頼できる

3-4.買取に出す

遺品でも、まだ十分に使えるものは買取に出すことも考えてみましょう。特に、以下のような遺品は高額買取が期待できます。いずれも、汚れや傷みなどがないことが条件です。

  • 家電(製造後3年以内が目安)
  • 高級家具・ブランド家具
  • 趣味のコレクション
  • 着物
  • 骨とう品
  • 有名ブランド品
  • 貴金属類
  • スポーツ用品

なお、金銭価値が高い遺品は、親族から形見分けを希望されることも多く、買取に出すことで思わぬトラブルになることもあるので注意してください。また、遺産相続が関連する場合も、親族の同意なく買取に出すのはやめておきましょう。なお、遺品を買取に出すには、リサイクルショップに売る、不用品回収業者に買取してもらう、ネットオークションやフリマアプリに出品するなどの方法があります。特におすすめは、不用品回収業者に買取してもらう方法です。都合のよい日時を指定して回収してもらえ、万が一買取不可の場合でも、そのまま引き取り処分を依頼できて助かります。

4.遺品を形見分けする方法

遺品の中でも、個人の思い入れが強いものは親族や故人と交流が深かった人などに形見分けするのもよいでしょう。

4-1.形見分けのポイントや注意点

形見分けをスムーズに進めるポイントや注意点を詳しく見ていきましょう。

4-1-1.四十九日法要が終わったタイミングで行う

形見分けは、四十九日法要が終わったタイミングで行うのが一般的です。四十九日法要までは、何かとバタバタすることが多くて落ち着きません。四十九日法要が終わって一段落付いてから、遺品整理および形見分けを行うのが一番効率がよいといえます。

4-1-2.目上の人には形見分けしない

いくら故人と親しい間柄であっても、故人より目上に当たる人には形見分けしないのがマナーです。特に、古い考えを持っている人は、不快に感じてしまいます。ただし、先方から形見分けを希望してきた場合は、問題ありません。

4-1-3.手渡しの場合は包装しない

形見分けの品を手渡しする場合は、特に包装せずそのままで渡しましょう。宅配便で配送する際も、特に包装する必要はありません。形見分けはあくまでも故人の持ちものを配分するものであり、一般的なプレゼントとは異なるからです。

4-2.形見分けの方法や流れ

実際に形見分けする際の方法や流れを、詳しく見ていきましょう。

4-2-1.形見分けする遺品や人をリストアップする

形見分けの準備として、形見分けする遺品と形見分けする人をそれぞれリストアップしましょう。どんな遺品があるか一覧にすることで、スムーズに作業が進みます。また、形見分けする人をリストアップすることで、渡し忘れを防ぐことが可能です。形見分けする遺品のリストは、形見分けする人に直接見てもらったり、FAXやメール添付で送付したりしてください。

4-2-2.形見分けの希望品を申告してもらう

次に、形見分けの希望品を申告してもらいましょう。どんな人がどんな遺品を欲しいか確認し、一覧にしてみてください。形見分けでは、特定の遺品に人気が集まることがよくあります。なるべく穏やかに解決できるよう、振り分けを考えてみてください。たとえば、故人に近い身内から優先的に希望を考慮すると、問題になりにくいでしょう。また、第一希望~第三希望までなど、複数の希望を聞いておくのもおすすめです。

4-2-3.遺品を手渡しもしくは発送する

形見分けの内容が決まったら、遺品をそれぞれ希望者に手渡すか、宅配便などで発送してください。念のため、誰にいつ手渡ししたり発送したりしたか、記録に残しておくことが大切です。直接手渡した人については、サインや押印をもらっておくとよいでしょう。発送した場合は、数か月程度発送伝票を手元に残しておくことがおすすめです。

5.遺品を寄付する方法

遺品を福祉施設などに寄付する方法について詳しく解説します。

5-1.遺品を寄付するポイントや注意点

遺品を寄付するポイントや注意点は、以下を参考にしてください。

5-1-1.未使用品を寄付するのが基本

寄付する遺品は、未使用品が基本になります。未使用品以外でも、ほとんど使ってなくキレイな状態のものを寄付しましょう。いくら無料で譲るとはいえ、使い古したものや汚れや傷みがあるものを渡すのは失礼です。

5-1-2.先方に無断で寄付しない

先方に無断で寄付するのもやめましょう。遺品を寄付する前に、先方の希望を必ず聞いておくことが大切です。寄付であっても、先方が不要なものは迷惑になります。たとえ金銭価値が高いものであっても、十分に使えるものであっても、必ずしも喜ばれるとはいえません。また、希望の品物であっても、いきなり送り付けるのはマナー違反です。

5-1-3.寄付する側が配送手段を手配し配送料を負担する

遺品を寄付する場合、寄付する側が配送手段を手配し、配送料を負担することが一般的になります。たとえ先方の希望どおりの品物であっても、あくまでも善意で遺品をもらってもらうからです。したがって、寄付する側が配送の手配をしたり配送料を自己負担したりするのは、当然と考えてください。

5-2.遺品を寄付する方法や流れ

遺品を寄付する方法や流れは、以下を参考にしてください。

5-2-1.寄付する遺品をリストアップする

まずは、寄付する遺品をリストアップしてみましょう。リストアップすることで、効率よく寄付先を探すことができます。そのまま寄付先にFAXやメール添付などで送れるよう、分かりやすくまとめておくとよいでしょう。

5-2-2.寄付先を探す

次に、遺品の寄付先を探しましょう。寄付先の主な探し方は、以下のとおりです。

  • 市区町村役場の福祉課に相談して取り持ってしてもらう
  • 福祉施設に直接問い合わせて欲しいものがあるか聞く

なお、寄付先が決定するまでに日にちがかかることがあります。焦らず、気長に探し続けることも大切です。

5-2-3.自分で運ぶもしくは配送を手配する

寄付先が決まったら、先方に確認して都合のよい日時に直接手渡しするか配送を手配してください。直接手渡しする場合は、物量によっては車を手配する必要があります。配送する場合も、到着日時に配慮したり料金先払いで手配したりすることも忘れないようにしましょう。

6.遺品の分類に関するよくある質問

最後に、遺品の分類に関する質問に回答します。それぞれ役立ててください。

Q.分類に迷う遺品はどうすればよい?
A.いったん保留にしておき、日にちを置いてから再度分類してみましょう。なお、日にちを置いても分類しづらい遺品は、無理に手放す必要はありません。処分してしまうと後悔する可能性が高いので、手元に保存しておきましょう。

Q.遺品の分類は晴れた日に行うとよいと聞いたのですが?
A.晴れた日は、湿気がこもりにくいことから遺品の分類に向いているといえます。しかし、雨の日に遺品を分類してはいけないということはありません。湿気の多さが気になるときは、エアコンの除湿機能を使うなどしてみるとよいでしょう。

Q.遺品の形見分けは必ず行う必要がある?
A.形見分けは義務ではありません。したがって、無理に形見分けしなくても大丈夫です。ただし、後日親族から苦情が入ることがあるため、何らかの形で形見分けをしないことをあらかじめ知らせておくとよいでしょう。

Q.亡くなってから数年後に形見分けしてもよい?
A.親族が承知しているのなら、特に問題ありません。親族が希望する場合は、亡くなって数年後であっても形見分けを検討してみてください。

Q.デジタル遺品の分類はどうすればよい?
A.パソコンやスマホ・タブレットなどの情報家電には、個人情報を含む多くのデータが残されています。ごくプライベートな内容だったり、クレジットカードやネット銀行・ネット証券の登録情報などが記録されていたりすることもあるため、取り扱いに注意が必要です。実際に、デジタル遺品に手を付ける人は故人と関係が深く、かつ、情報家電の操作に慣れている人が望ましいでしょう。

まとめ

今回は、遺品の分類について詳しく解説しました。遺品は、保存・処分・形見分け・寄付の4つに分けて分類するとよいでしょう。効率よく分類するには、作業スケジュールを考えておくほか、分類基準を決めておいたり必要な道具をそろえておいたりすることが大切です。無理なく作業できるよう、最初にきちんと準備しておくとよいでしょう。なお、遺品の処分は、不用品回収業者に依頼すると何かと便利でおすすめです。