「片付けてもすぐに書類が散らかる」「スッキリとした印象を維持し続けるコツが分からない」など、オフィスの整理整頓に悩みはつきものです。オフィスの整理整頓は作業量が多いので、なかなか進められない問題点があります。通常の仕事をしながら作業することになるため、きちんと計画を立ててから実行することが大切です。また、オフィスならではの整理整頓方法とポイントがあります。

本記事では、オフィスの整理整頓がスムーズにできる方法を解説しましょう。

  1. オフィスの整理整頓はなぜやるべきか?
  2. オフィスの整理整頓の基本とは?
  3. 今すぐできるオフィスの整理整頓方法
  4. オフィスの整理整頓に関してよくある質問

この記事を読むことで、オフィスの整理整頓が上手にできるコツが分かります。悩んでいる方はぜひチェックしてください。

1.オフィスの整理整頓はなぜやるべきか?

最初に、なぜオフィスの整理整頓が必要なのか、その重要性をチェックしておきましょう。

1-1.仕事の効率がアップする環境

書類・ファイル・DVDなどオフィスにはたくさんのものであふれています。常にゴチャゴチャしている環境で仕事をすると効率が下がることをご存知でしょうか。さまざまなものが無造作に積み上げられ、あちこちに書類が散乱している、そのような職場環境では仕事も捗りません。必要なものを探し出すときにも時間と手間がかかってしまい、生産性が下がります。多くの無駄をなくし仕事の効率を上げるためには、整理整頓された環境を維持するのが1番の対策です。

1-2.セキュリティが確保でき、チームワークが生まれる

職場では共有ファイルを使用する機会が多いと思いますが、どこに何があるのか分からない状態では使いづらくセキュリティー問題にも影響を及ぼすことになります。企業にはさまざまな情報が複数の媒体・形式で存在しているため、常にどこに何があるのか把握しておかなければなりません。中には、外部へ流出した場合に問題となる情報もあるでしょう。また、整理整頓されたオフィスは、チームワークが生まれ、協同できる環境となります。共有スペースはみんなで使う空間と意識することで、仲間意識も自然と強まるでしょう。

1-3.新しいことへの挑戦意欲が生まれる

整理整頓を徹底することでオフィスの空気が新しくなり、新鮮な気持ちを抱くことができます。その結果、変わることへの抵抗感もやわらげる作用が働くのです。抵抗力がやわらげば、新しいことへの挑戦意欲が湧き出てきたり、理想のイノベーションを生み出したりと会社の発展につながります。整理整頓は心理的な要素にも良い影響をもたらす作業なのです。

1-4.片付いていないオフィスは仕事や人間関係に悪影響を与える

オフィスが汚れていると、なかなか仕事に集中できず作業が止まってしまうはずです。オフィスは大勢の場所が出入りする場所なので、すぐに散らかりがちですが、整理整頓できずにいると不用品であふれてしまいます。その結果、仕事の効率が悪くなり、会社の運営にも悪影響を及ぼすのです。さらに、落ち着かない環境=冷静に判断できなくなることが増え、人間関係にも悪影響を与えることになりかねません。

2.オフィスの整理整頓の基本とは?

それでは、どこからオフィスの整理整頓を始めればいいのか、片付けの基本を押さえておきましょう。

2-1.整理と整頓の意味を知ろう!

まずは、整理と整頓の意味を知ることが大切です。どちらも同じ意味だと思われがちですが、それぞれ違う意味を持っています。整理はものを減らすこと、整頓は配置することという意味です。基本的に、整理整頓をする際は、ものを減らす→必要なものを使いやすい場所に置くという流れで進めていきます。持っているものを使いやすい場所に移動させる(整頓)だけでなく、不要なものを減らす(整理)というところから始めるのが整理整頓です。

2-2.仕事がしやすい環境にする

オフィスの整理整頓で念頭に置いてほしいのは、仕事がしやすい環境を整えることです。自宅を整理整頓する場合、自分にとっていかに居心地が良い空間にするか・過ごしやすい環境にするかがポイントになるでしょう。しかし、オフィスは仕事をする場所なので、どうすれば効率よく仕事ができるのか考えながら環境を整えることが大切です。普段、自分がどういうときにどんなものを使っているのか、どんな作業をしているのか踏まえながら整理整頓を進めてください。

2-3.出し入れしやすくする

自分が持っているものを確認し、不要なものを減らしてから必要なものを収納します。収納する際は、なるべく出し入れがしやすくなるように工夫することが大切です。オフィスにものが多すぎると必要なものを探すまでに時間がかかり、出し入れしにくいと取り出すまでにも時間がかかります。共有スペースにあるものは、従業員の全員が出し入れしやすいかどうか考えましょう。

2-4.完璧を求めない、こだわらない

オフィスは自宅とは異なり、作業範囲が広く、すべてを完璧に整理整頓しようとする必要はありません。確かに、美しくオシャレな空間は来客の際も好印象を持たれます。けれども、美しさやオシャレさにこだわるあまり、収納場所が少なくなってしまい困ることになるでしょう。こだわりが強すぎると整理整頓できなくなってしまうので注意してください。

2-5.オフィスの整理整頓法をご紹介

では、具体的にどのようなオフィスの整理整頓法があるのか、代表的な方法を2つ紹介します。

2-5-1.トヨタ式片付け方法

日本の代表的な企業と言えるトヨタでは、独自の片付け方で整理整頓を徹底しています。たとえば、整理では会社に置いてある不要なものを捨てるための「明確な判断基準」を持っているのです。身のまわりのものを以下の3つに分けて、不要なものを処分しています。

  • 今使うもの
  • いつか使うもの
  • いつまでたっても使わないもの

基本的に、今使うものは現在進行形で使っているものなので手元に残します。いつか使うものは「いつか」の期限を設け、使い終わったらすぐに処分し、いつまでたっても使わないものは今すぐに処分する決まりです。明確な判断基準を社内で共有すれば、無駄なものを増やすことはありません。また、整頓のコツもいくつかありますが、その中でも重要なのが使用頻度で置き場所を決めることです。トヨタ式の整頓では、使う頻度を以下の5つに分けて置き場所を決めています。

  • 毎日使う
  • 2~3日おきに使う
  • 1週間おきに使う
  • 1か月おきに使う
  • 半年、1年おきに使う

2-5-2.職場管理の基礎となる「5S」

整理・整頓・清掃・清潔・しつけの頭文字をとった5Sは、職場管理の基盤づくりに必要不可欠な活動です。職場環境を改善するためのスローガンにもなっており、組織全体で協力し合うことが大切なポイントとなります。ちなみに、それぞれの5つの意味は以下のとおりです。

  • 整理:不要なものを捨てること
  • 整頓:使いやすく並べて表示すること
  • 清掃:キレイに掃除しながら、あわせて点検すること
  • 清潔:キレイな状態を維持すること
  • しつけ:キレイに使うように習慣づけること

3.今すぐできるオフィスの整理整頓方法

今すぐに自分でもできるオフィスの整理整頓方法を解説します。

3-1.ものを減らし、必要なものを収納するのが基本

整理整頓の基本の流れは、できるだけ不要なものを減らし、必要なものを定位置に収納することです。特に、オフィスの整理整頓で悩みの種になるのが書類でしょう。書類の保管期間は企業によって異なるため、期間切れになったものから処分してください。また、基本的に使っていないものは処分します。ものを極力減らしたほうがスッキリし、収納スペースにも余裕が生まれるので整頓しやすくなるのです。そして、必要なものは使用頻度にあわせて定位置を決めます。よく使うものから取り出しやすい位置に置くといいでしょう。

3-2.デスクまわりは引き出しを上手に使おう

散らかりやすいデスクの整理整頓は、引き出しや足元の空間を上手に利用することがポイントです。引き出しはとりあえず文房具や文具を放り込みがちですが、1段目は文具、2段目は小物、3段目は資料など、段ごとに分けることで使いやすくなります。A4サイズの書類や常備食などは、引き出しに入りきらないと思うので、その場合は足元の空間に収納ボックスなどを設置するといいでしょう。空間を上手に活用すれば、デスクの上は必要最低限のものだけになり、仕事がしやすい環境となります。

3-3.書類はファイリングが基本

すぐに量が多くなる書類は、種類や使用頻度などに分けてファイリングをするのが基本です。そのまま放置したり、乱雑に置いたりすると、どこにどんな書類があるのか分からなくなってしまいます。管理不足から情報が流出する可能性もあるため、しっかりと日付や用途を記載しファイリングしておきましょう。共有スペースに書類を保管する場合は、ラベリングも必要不可欠です。

3-4.私物は自分でしっかりと管理する

共有スペースとなる給湯室やロッカーについ増えてしまいがちな私物は、きちんと自分で管理する必要があります。デスク上が私物で埋めつくされていては、仕事も捗りません。掃除をしてゴミや汚れのないキレイな状態にし、その状態を維持し続けることが大切です。定期的にデスクまわりを見直したり、私物を整理整頓したりするようにしてください。できるだけ、私物は仕事場に持ち込まず、家に持ち帰りましょう。

4.オフィスの整理整頓に関してよくある質問

オフィスの整理整頓に関する質問を5つピックアップしてみました。

Q.社内の整理整頓が進まない原因は?
A.従業員同士、整理整頓の目的やメリットを理解していないことが原因です。すべての人が片付けに意欲的ではなく、中には苦手意識を持っている方もいるでしょう。オフィスの整理整頓は全員で協力することが大切なので、まずは整理整頓されたオフィスのメリットとデメリットを共有しましょう。話し合いの場を設け、メリットが共有できたら整理整頓のステップへと進みます。きちんと整理整頓のメリットを知ることで、取り組みの姿勢も大きく改善するのです。

Q.すぐに必要な書類を見つけられる管理方法は?
A.個別フォルダーやファイルボックスなど収納アイテムを活用することです。書類を全部出し、年度ごとにどのような書類があるのか確認しながら分類します。そこからさらに細かく分類し、個別フォルダーに収納しましょう。いくつかの個別フォルダーはガイド版で区切ることで、取り出しやすくなります。15冊程度になったらファイルボックス単位でまとめ、あとは収納棚に入れるだけでOKです。

Q.来客のイメージを良くするコツは?
A.オフィスの顔ともいえる玄関を清潔にしましょう。玄関となる入り口が汚くゴチャゴチャしていると悪い印象を持たれます。また、玄関からオフィスの中が丸見えになっている場合は、パーテーションなどを使って空間に仕切りをつけるとスッキリするのでおすすめです。玄関・デスク・会議室・休憩室など上手にゾーニング分けができれば、シンプルで清潔な空間となります。

Q.書類の「保管」と「保存」の違いは?
A.必要なときすぐに取り出せる状態でものを置くことが保管、ものを現状のまま倉庫などにしまっておくことが保存です。基本的に、書類は作成→保管→保存→廃棄の流れとなります。この流れをきちんと捉えておけば、書類の整理整頓が上手にできるでしょう。

Q.書類を処分する際の注意点は?
A.書類の内容によっては、外部へ流出してはいけない情報が記載されているものもあるでしょう。そのまま処分すると悪用される恐れがあるため、シュレッダーにかけて処分するか、まとめて溶解処理を行うようにしてください。機密情報の書類は保管・保存の時点でも取り扱いに十分気をつけなければなりませんが、処分時も企業の方針に従って捨てる必要があります。

まとめ

オフィスの整理整頓は仕事の効率アップにつながる大切なことです。たくさんの書類や資料を扱うことが多いからこそ、常に整理整頓された状態を維持し続ける必要があります。どこに何があるか分かるオフィスは、仕事がスムーズに進められる環境です。まずは、要らないものと今すぐ使うものを分けて、使う頻度で置き場所を決めましょう。いつか使うもの・使っていないものは必要ないものなので処分します。使っているものは定位置を決めることで、使った後にすぐ戻すことができるでしょう。