ハードディスクのデータ消去

パソコンのデータ消去を業者に依頼する場合、データ消去証明書を発行してもらうことができます。依頼者の中には、「データ消去証明書は必要ない」と思っている方がいますが、実はこれが重要なものになるのです。

なぜパソコンのデータ消去証明書が必要なのか、そして、どうしてパソコンのデータを消去しなければならないのか、本記事で詳しく説明します。

この記事を読むことで、パソコンのデータを消去する際の注意点やデータ消去証明書の必要性などが分かります。気になっている方はぜひチェックしてください。

1.パソコンのデータ消去はなぜ重要か?

最初に、なぜパソコンのデータ消去が重要なのか、その理由をチェックしておきましょう。

1-1.データの流出と悪用を防ぐため

パソコンのデータ消去が重要な理由は、データの流出と悪用を防ぐためです。パソコンには、名前・住所・メールアドレス・電話番号といった個人情報や、クレジットカード情報・写真・動画などが含まれています。それらのデータをすべて完全に消去しておかなければ、外部に流出してしまい悪用される恐れがあるからです。

データの流出と悪用を防ぐためにも、パソコンを処分する前にデータを完全消去する必要があります。特に、会社で使用するパソコンの場合、顧客情報やクライアントとのやり取り全部が流出してしまうため、信用に関わる大問題に発展するでしょう。

1-2.初期化だけでは不十分

パソコンを初期化すればデータが消去できると思っている方が多いと思いますが、初期化だけでは不十分です。初期化はあくまでデータを表面上からなくすだけなので、データが記録されるHDDには残っています。

復元ソフトを使うとデータが復活するため、初期化だけでは不十分なのです。きちんとHDDに記録されているデータを消去してから、初期化する必要があります。初期化すれば大丈夫と思わないようにしましょう。

2.パソコンのデータを消去する方法

ここでは、パソコンのデータを消去する方法について解説します。

2-1.HDDを物理的に破壊する

主な方法としては、HDDを物理的に破壊するやり方があります。パソコンに内蔵されているHDDを取り出して、ガラス部分をカナヅチまたはカッターで破壊し傷を入れればデータが復元される心配はありません。データが読み込みできない状態になるため、安心して処分できるでしょう。

また、物理的に破壊する方法は、パソコンが起動できない・HDDを読み取ることができないケースでもデータの消去が可能です。ただし、HDDを取り出すまでに時間がかかったり、ガラスの破片でケガをしたりする恐れがあるので注意してください。自分でHDDを取り出し破壊する場合は、軍手をつけるなどしてケガの防止に努めましょう。

2-2.消去ソフトを利用する

もう1つ、自分でデータを消去する方法として、消去ソフトを利用するやり方があります。パソコン販売店や家電量販店などで、データを消去する専用ソフトが販売されているでしょう。

消去ソフトを使う方法を論理的消去法といいますが、物理的破壊よりも手軽にデータが消去できます。ソフトを入れてダウンロードするだけなので、手間と時間がかかりません。消去ソフトを使用した後は、初期化してパソコンを処分してください。

2-3.専門業者にデータ消去を依頼する

自分でデータを消去するのが不安な方は、専門業者にデータ消去を依頼するのも選択肢の1つです。特に、会社で使用したパソコンには、情報漏えいによって大きな損害を招きかねません。第三者にデータを見られないようにするためにも、専門業者に依頼したほうが安全でしょう。

なお、専門業者によって異なりますが、主な消去方法は物理的破壊または論理的消去法です。業者によって異なるため、事前にどのような方法でデータを消去するのか確認してください。

3.データ消去証明書とは?

それでは、データ消去証明書について説明します。

3-1.データ消去が行われたことを証明するもの

データ消去証明書を簡単に説明すると、データ消去が行われたことを証明する書類です。パソコンのデータ消去を業者に依頼する場合、「パソコンのデータを完全に消去しました」と証明してくれる唯一のものとなります。

ただし、業者によってデータ消去証明書の書式は異なり、内容も違うので注意しておかなければなりません。また、業者の中には、データ消去証明書を発行していなかったり、発行にお金がかかったりするところもあります。発行手数料は1,000円ほどかかるのでその点を踏まえて依頼するといいでしょう。

3-2.業者とのトラブルを防ぐために必要

「データ消去証明書を発行しなくてもいいのでは?」という方がいますが、発行したほうがさまざまなトラブルや問題を未然に防ぐことができます。実際に、業者にデータ消去を依頼した後、きちんとデータが消去されておらず、情報が流出&悪用されてしまったことがありました。

業者に確認をしても「自分たちはきちんとデータを消去した」といい張るばかりです。そこで、データ消去証明書を発行してもらっていれば、完全に業者側の問題になるでしょう。業者の中には不正を働く悪徳業者が存在しているので、データ消去証明書を発行してくれるかどうかは業者の信ぴょう性を図る大事なポイントでもあります。

3-3.企業にとっては必要不可欠

データ消去証明書は、企業や会社にとっては必要不可欠なものになるでしょう。前述したように、データ消去証明書の内容は業者によって異なりますが、企業にとってはデータ消去証明書の発行が必須項目のケースがほとんどです。そのため、企業が専門業者にパソコンデータの消去を依頼する際は、データ消去証明書の発行を依頼しなければなりません。

一度、パソコンのデータから情報漏えいを起こしてしまうと、会社の運営に大打撃を与えてしまいます。どのような方法でデータを消去しているのか・データ消去証明書にどのような項目を記載するのかなど、業者選びも慎重に行うことが大切です。

3-4.パソコン処分の管理がしやすくなる

データ消去証明書を発行してもらうことで、パソコンをいつどのように処分したのか管理しやすくなるのも大きなメリットです。業者によってデータ消去証明書に記載される内容は異なりますが、いつどのような方法でデータを消去したのかなど、詳しく記載されています。

特に、たくさんのパソコンを一度に処分する場合、どのパソコンのデータを消去したのか分かりにくくなるでしょう。管理しやすくするためにも、データ消去証明書を発行して大切に保管することが大切です。

4.業者にパソコンのデータを消去する際の注意点

ここでは、業者にパソコンのデータを消去する際の注意点をいくつか紹介します。

4-1.どのような方法でデータを消去するか

業者にデータの消去を依頼する場合は、どのような方法でデータを消去するのか必ず確認してください。専門業者で行われているデータの消去方法は、専用ソフトを使用する論理的消去法・HDDを破壊する物理的破壊・磁気で読み取れなくする磁気消去の3つがあります。データ消去専用のソフトを使用している業者の場合、データを完全に消去しきれない可能性があるので注意が必要です。

なるべく、専用ソフトを使用していない専門業者にデータ消去を依頼したほうがいいでしょう。どちらかというと、物理破壊によるデータの完全消去を行っている業者に依頼するのがおすすめです。

4-2.データ消去証明書を発行しているか

専門業者に依頼する場合、データ消去証明書を発行しているかの確認も必要です。前述したように、データ消去を行っている業者の中には、データ消去証明書を発行していないところがあります。データ消去証明書を発行していない業者は、きちんとデータ消去を行っているとは限らないので注意が必要です。

また、データ証明証明書を発行しているとしても、発行手数料がいくらかかるのか・どのような内容が記載されているのかも細かく確認をしてください。何も確認しないまま依頼すると後でトラブルになる恐れがあるので要注意です。

4-3.専門業者選びのポイントをチェック!

どの業者にパソコンのデータ消去を依頼すればいいのか分からない方は、以下のポイントに注目してください。

  • パソコンを中心に不用品の回収実績があるか
  • データ消去証明書の発行を受け付けているか
  • スタッフの対応が丁寧かつスピーディーか
  • 無料相談や無料見積もりを受け付けているか
  • 技術・知識が豊富な専門スタッフが在籍しているか
  • 不用品の回収だけでなく買取も行っているか
  • 実際に利用した人の口コミや評判がいいか
  • 見積書の内容が細かく記載されているか

5.データ消去証明書やパソコンの処分に関してよくある質問

データ消去証明書やパソコンの処分に関する質問を5つピックアップしてみました。

Q.データ消去の費用はHDDの容量によって変わるのか?
A.HDDの容量によって変わる業者はほとんどありません。HDDの本数によって費用が変わる可能性があるため、複数のパソコンデータ消去を依頼する場合は注意してください。特に、データ消去を依頼するほか、パソコンの処分も依頼する場合は総額でいくらかかるのか見積書を確認することが大切です。

Q.データ消去にかかる費用はいくらぐらいか?
A.業者によって異なりますが、1台あたり1,000円~が目安となります。データ消去証明書の費用は約1,000円~なので、総額2,000円ほどです。ただし、あくまで目安となるため、データ消去にいくらかかるのか確認してください。疑問点や不安要素があれば、その場で尋ねて解消することをおすすめします。後でトラブルにならないためにも、事前の入念な確認が必要です。

Q.処分費用を抑えるコツは?
A.なるべくパソコンの処分費用を抑えたい方は、不用品買取を行っている業者に依頼するといいでしょう。再利用できる状態のパソコンであれば、処分ではなく買い取ってもらえる可能性があるからです。買い取ってもらうことができれば処分費用をかけることなく手放せるでしょう。特に、中古市場で価値が高いパソコンほど高く売れる可能性があります。

Q.パソコンを処分する際の注意点は?
A.パソコンはPCリサイクル法によって自治体回収ができません。いつものゴミ捨て場に持っていったとしても回収してもらえず、不法投棄扱いになる恐れがあるので注意してください。基本的に、メーカーへ回収を依頼するか・家電量販店などで回収してもらう・不用品回収業者に依頼する方法で処分することになります。なお、メーカーまたは家電量販店などでの回収の場合、PCリサイクルマークがついているパソコンは無料回収、PCリサイクルマークがついていないパソコンは有料回収です。

Q.悪徳業者の特徴は?
A.スタッフの対応が悪かったり、データ消去法などについてきちんと説明してくれなかったりする傾向があります。「今だけお得にデータ消去可能です」など、謳(うた)い文句ばかりいってくる業者も悪徳業者の可能性があるので注意してください。また、無料回収を行っている業者も注意しましょう。無料という言葉に弱くなりがちですが、きちんと正しい方法で処分してくれるとは限りません。

まとめ

データ消去証明書は、きちんとデータを消去したと業者が証明してくれるものです。パソコンには個人情報やクレジットカード情報といったさまざまな情報が含まれているため、データを完全消去してから処分しなければなりません。

データ消去証明書を発行してもらえば、業者とトラブル防止になりますし、パソコンのデータをいつどのように消去したのか管理しやすくなります。発行手数料は1,000円ほどかかりますが、データ消去を専門業者に依頼する際はデータ消去証明書を発行してもらいましょう。