「ナチュラルクリーニング」は、人にも自然にもやさしく身近にある素材を使用した掃除のことです。一般的なクリーニングは、シミや汚れを落とすために洗剤・漂白剤などを用いるでしょう。しかし、これらには人に害をおよぼすおそれのある化学薬品が含まれています。化学薬品に敏感な子どもが使うものは、できるだけ天然由来のものでキレイにしたいですよね。では、ナチュラルクリーニングの基礎知識や必要なもの・具体的な方法について解説します。

  1. ナチュラルクリーニングの基礎知識
  2. ナチュラルクリーニングに必要なものは?
  3. ナチュラルクリーニングの方法は?
  4. ナチュラルクリーニングに関してよくある質問

この記事を読むことで、ナチュラルクリーニングの方法とポイントが分かります。気になっている方は、ぜひチェックしてください。

1.ナチュラルクリーニングの基礎知識

まずは、ナチュラルクリーニングとは何なのか、主なメリットなど基礎知識を深めていきましょう。

1-1.ナチュラルクリーニングとは?

身近にある安心素材を使用した掃除方法のことを「ナチュラルクリーニング」といいます。一般的な掃除では、漂白剤やカビ取り剤・食器用洗剤を使うことが多いでしょう。しかし、これらには化学成分が含まれています。そんな危険な成分をなくして掃除を行おうと注目され始めているのが「ナチュラルクリーニング」なのです。

1-2.主なメリットは?

ナチュラルクリーニングの大きなメリットは、「環境や人にやさしい」点です。自然由来のものでクリーニングを行うため、環境や肌にやさしいメリットがあります。また、洗剤・水の使用量を減らすことができるので、エコ活動としても注目されているのです。安心して掃除ができること、安全であることもナチュラルクリーニングならではのメリットといえるでしょう。

1-3.最近の人気や傾向は?

合成洗剤を使わず、環境や人にやさしいナチュラルクリーニングは、その安全性から子育て中のママを中心に関心が高まってきています。最近では、メディアで取り上げられることも増えてきました。ナチュラルクリーニングに使用するものはたくさんありますが、中でも「重曹」「クエン酸」の2つに人気が集まっています。この2つさえそろえておけば、家の中のあらゆる汚れにも対応可能です。詳細は、後ほど【2.ナチュラルクリーニングに必要なものは?】で説明するのでぜひチェックしてください。

1-4.向いている人・家庭、掃除箇所は?

子どもがいる家庭は、ナチュラルクリーニングがおすすめです。化学薬品などが含まれていない自然由来の成分なので、子どもが身に着ける衣類も安心して洗濯できます。また、赤ちゃんのおもちゃや、ペット用品などについた汚れも安心して落とすことができるでしょう。ナチュラルクリーニングは、キッチン・部屋・トイレ・洗濯・食器洗いなど幅広い箇所や用途に取り入れることができるのが最大の魅力です。さらに、それぞれの場所で洗剤を使い分ける手間も省けます。

2.ナチュラルクリーニングに必要なものは?

では、ナチュラルクリーニングに必要なものを紹介していきましょう。

2-1.重曹

ナチュラルクリーニングの材料の中でも人気が高い「重曹」は、弱アルカリ性の性質を持っています。酸性の油汚れなどに効果的なので、キッチンの掃除に使用されることが多いでしょう。純度の高い順で「薬用」「食用」「工業用」がありますが、掃除なら工業用で大丈夫です。基本的な使い方は、粉状の重曹を気になる部分に振りかけたり、スポンジやぞうきんにつけたりしますが、水溶液やペースト状にして使うこともできます。水溶液は1リットルのぬるま湯に大さじ4杯程度を混ぜて作りましょう。ペースト状は、鍋に水300ccと片栗粉(かたくりこ)大さじ1~2杯程度入れて煮立てて、冷めてから重曹を大さじ2杯程度入れて混ぜたら完成です。

2-2.セスキ炭酸ソーダ

セスキ炭酸ソーダは、重曹と炭酸ナトリウムの成分が半分ずつ混ざったものです。重曹よりもアルカリ性が強いのが特徴的で、頑固な油汚れを落とすことができるでしょう。また、タンパク汚れにも強いので、汗・血液がついた衣類の洗濯にも最適です。セスキ炭酸ソーダを使用する際は、粉を気になる部分に振りかけたり、重曹と同じく水と混ぜて水溶液にしたりするのも良いでしょう。セスキ炭酸ソーダ水は、水500cc:小さじ1となります。

2-3.過炭酸ナトリウム

炭酸ソーダと過酸化水素が混ざったものが「過炭酸ナトリウム」です。水と反応すると、炭酸ソーダになります。アルカリ性で洗浄力が強いため、食器・衣類などの漂白やカビ除菌に最適です。また、40℃以上のお湯で溶かすと色素を分解する力が強くなります。食器用洗剤として使用する際は、食洗機でまわす前に入れるだけです。洗濯槽のカビ取りにも効果を発揮します。

2-4.クエン酸

アルカリ性の汚れにぴったりなのが「クエン酸」です。水垢(みずあか)や石けんカス、トイレの汚れなどを落とすことができます。キッチンや浴室など水まわりの白い汚れにも効果が期待できるでしょう。クエン酸の使い方は、重曹と同じく、粉を振りかけたり水溶液にしてスプレーしたりする方法があります。クエン酸スプレーは、水200cc:クエン酸小さじ1です。

2-5.家庭にある「お酢」

ほかには、調理でよく使う「お酢」があります。お酢は酸性の性質を持っているので、アルカリ性の汚れを中和する効果があるのです。たとえば、水垢や石けんカスが溜(た)まりやすいキッチンの水まわり・トイレ・風呂場が向いているでしょう。また、お酢には殺菌の繁殖を防ぎ、生臭いニオイを消臭する効果も期待できます。お酢を使用する際は、だいたい5倍に水で薄めると良いでしょう。

2-6.頑固な汚れは併用する!

上記の洗剤を併用すると、頑固な汚れを落とす強力な力が発揮できます。たとえば、落ちにくいキッチン汚れには「重曹」と「食器用洗剤」を併用したり、トイレの黄ばみには「重曹」と「クエン酸」を一緒に使って掃除すると効果的でしょう。市販の洗剤同士は混ぜ合わせると危険ですが、自然由来のものなら併用しても安全です。

3.ナチュラルクリーニングの方法は?

自然由来のものを使用したナチュラルクリーニングの方法を紹介します。

3-1.使う道具は?

「重曹」「セスキ炭酸ソーダ」「クエン酸」「過炭酸ナトリウム(酸素系漂白剤)」の4点を用意するだけで十分に活用できます。この4つは、ナチュラルクリーニングの掃除に必要不可欠なアイテムといえるでしょう。また、スポンジやぞうきん・マイクロファイバータオル・キッチンペーパーなどを用意しておけば万全です。

3-2.掃除箇所別の掃除方法をご紹介!

掃除箇所別に、ナチュラルクリーニングによる掃除方法を説明します。

3-2-1.キッチン

キッチンの汚れでやっかいなのが「油汚れ」ですよね。コンロまわりやレンジフードなど油汚れが目立つ場所は、重曹を使ってキレイにしてください。重曹ペーストや重曹スプレーを使って掃除をします。たとえば、重曹スプレーを気になる場所に吹きかけ、汚れをふきん等で拭き取ってください。さらに、重曹はシンクの水垢などにも効果が期待できます。重曹は粒自体が細かくやわらかいので、シンクに傷をつける心配もいりません。また、コンロまわりや魚焼きグリルなどの頑固な油汚れには、アルカリ度が高いセスキ炭酸ソーダが効果的です。

3-2-2.部屋

部屋の床掃除にも「重曹」が大活躍します。重曹はお湯に溶かして重曹水にし、マイクロファイバータオルを浸してしっかりと固く絞ってください。後は、床の拭き掃除をするだけで、こびりついた汚れを落とすことができます。また、嫌なニオイと汚れが蓄積されているカーペット等にも重曹を使ってください。前の晩に重曹をカーペットにまき、手でもみ込んだ後一晩放置します。そして、次の日に掃除機をかけるだけで完了です。

3-2-3.風呂

風呂場は水垢・石けん・湯垢などアルカリ性と酸性の汚れが入り混じっています。よって、アルカリ性を持つ「重曹」と酸性を持つ「お酢」を混ぜ合わせたスプレーを作り、掃除をしていきましょう。また、毎日の浴槽掃除には「セスキ炭酸ソーダ水スプレー」、水垢取りに「クエン酸水スプレー」が最適です。鏡のうろこが気になる場合は、お酢を塗った後にラップで密封し、マイクロファイバータオルなどでキレイに拭き上げてください。

3-2-4.トイレ

汚れと同時に悪臭が漂いやすいトイレは、「セスキ炭酸ソーダ」「重曹」「クエン酸」が活躍します。便器の内側の汚れには、粉タイプの重曹を振りかけるか、セスキ炭酸ソーダ水をスプレーした後にしっかりとブラシで洗ってください。尿石など黄ばみができた部分には、クエン酸水スプレーを吹きかけてからラップなどでパックし、1時間ほど放置します。後は汚れを取ったら水拭きをして仕上げてください。また、ペーパーホルダーの部分には、セスキ炭酸ソーダ水をスプレーしてから水拭きをするとキレイになります。

3-2-5.衣類などの洗濯

衣類のひどい汚れやスニーカーなど布製の靴には、「過炭酸ナトリウム」がおすすめです。過炭酸ナトリウムの粉を40℃前後のお湯に混ぜてつけ置きすると、漂白作用が期待できます。「少しゴワゴワするな……」と感じたときは、仕上げにクエン酸を少し入れてください。酸性の中和によって、柔軟剤的な役割を果たします。また、洗剤代わりにセスキ炭酸ソーダを入れて洗濯機をまわすと、汗や血の汚れが落ちるでしょう。

3-3.保管方法は?

基本的に、ナチュラルクリーニングで使用するアイテム(粉状)を好みの容器に移し替えて保管します。パック詰めで販売されていることが多いため、適切な容器に入れ替えて密封してください。口が大きく開く容器に入れておけば、取り出しやすくなるのでおすすめです。

4.ナチュラルクリーニングに関してよくある質問

ナチュラルクリーニングに関してよくある質問を5つピックアップしてみました。

Q.石けんの選び方が知りたい
A.ナチュラルクリーニングには「無添加の石けん」もさまざまなシーンで活用できます。石けんを選ぶ際は、着色料・保存料・酸化防止剤など合成化学物質が含まれていない純石けんを選んでください。

Q.排水口のぬめり取りに役立つのは?
A.過炭酸ナトリウムです。これを約30g入れた後に、50℃のお湯200~400cc程度を少しずつ排水口に流し入れてください。そうすると、過炭酸ナトリウムがシュワシュワと発泡する音が聞こえ始めます。そのまま1時間放置し、後はお湯でよく洗い流すだけです。

Q.消臭効果が期待できるのは?
A.トイレや下駄箱(げたばこ)のニオイ取りに役立つのが「重曹」です。重曹は消臭効果が期待できるので、広口の容器に重曹大さじ1杯と、好きなエッセンシャルオイルを1滴垂らし置いてください。すると、嫌なニオイがなくなり、3か月ほど消臭効果が続きます。

Q.セスキ炭酸ソーダを使って掃除してはいけない場所は?
A.畳・カーペット・白木やフローリング・アルミ製などは向いていません。これらの場所にセスキ炭酸ソーダを使ってしまうと、変色したりシミになったりするおそれがあります。

Q.殺菌がつかないように消毒したい……
A.ナチュラルクリーニングの消毒剤として使われるのが「エタノール(アルコール)」です。殺菌作用はもちろんのこと、冷蔵庫内や取っ手部分の除菌など手軽に使うことができます。

まとめ

いかがでしたか? ナチュラルクリーニングは、重曹・クエン酸・セスキ炭酸ソーダ・アルコールなどを洗剤代わりに使い掃除を行います。それぞれ特徴が異なり、どの汚れにどれを使うのか頭に入れておけば、上手に汚れを落とすことができるでしょう。化学薬品を使わず、人の体にやさしいアイテムなら子どものものにも安心して洗えるはずです。ぜひポイントを押さえて、ナチュラルクリーニングに挑戦しましょう。