頑固な汚れになりやすいトイレの尿石は、そう簡単に落とせる汚れではありません。そのため、トイレの尿石で悩んでいる方は多いでしょう。どうすれば落とすことができるのか・どんなアイテムを使えばいいのか……悩みの種はさまざまです。尿石の特徴を把握しておけば、身近にあるもので汚れを落とすことができるでしょう。

本記事では、トイレの尿石を落とすコツなどを解説します。

  1. 尿石の特徴や汚れの原因
  2. 尿石除去に役立つアイテムと落とし方
  3. 自分で取れないときの対処法
  4. トイレの尿石を防ぐポイント
  5. トイレの尿石に関してよくある質問

この記事を読むことで、トイレの尿石を落とす有効な方法やポイント、予防方法などが分かります。悩んでいる方はぜひ参考にしてください。

1.尿石の特徴や汚れの原因

最初に、尿石の特徴や汚れがつく原因をチェックしておきましょう。

1-1.少しずつ出てくる黄ばみが尿石汚れ

トイレ掃除を少しでもサボってしまうと、便器に黄色い汚れが目立ち始めますよね。それがトイレに付着した尿石汚れです。尿石は人間のおしっこに溶けているカルシウムイオンという物質が炭酸や細菌などと反応したものとなります。反応すると固い石のようなカルシウム化合物となり、便器や配管の内部にこびりつくというわけです。尿石は、石のように固く黄色・茶色の汚れが特徴となります。放置すると尿石の上に尿石が重なり、どんどん落ちにくくなるので注意が必要です。

1-2.掃除しても尿の成分が残ってしまう

「毎日トイレ掃除をしているのに、なぜ尿石ができてしまうのか?」と思っている方はたくさんいると思いますが、掃除をしても尿の成分が残ってしまうのが原因です。普段のトイレ掃除では、汚れをすべて完璧に除去することはできません。尿に含まれるリン酸カルシウムという有機成分が、尿素やたんぱく質といった無機成分と結合して尿石が発生します。自分できれいに掃除したつもりでも、実は便器に尿石が残っていることが多いのです。

2.尿石除去に役立つアイテムと落とし方

ここでは、尿石除去に役立つアイテムと、具体的な落とし方について説明します。

2-1.洗剤は重曹とクエン酸がおすすめ

ホームセンターや薬局では、トイレの汚れを落とす市販の洗剤が売られています。市販の洗剤を使ったほうが効果的に落とすことができると思われがちですが、尿石を落とす洗剤でおすすめなのは重曹とクエン酸です。重曹とクエン酸は自然由来の成分でできているため、子どもやペットがいる家庭でも安心して使うことができるでしょう。本来、尿はアルカリ性の性質があるので、酸性のクエン酸だけでも落とすことができます。けれども、さまざまな物質が固まって出来上がっている尿石をしっかり落とすためには、アルカリ性のクエン酸を併用するのがポイントです。

2-2.頑固な汚れには尿石専用の洗剤が有効

重曹やクエン酸でも汚れが落ちない頑固な汚れには、尿石専用の洗剤が有効です。自然由来の成分でできた重曹・クエン酸よりも汚れを落とす効果が高く、配管内にも届いて尿石を落とすことができるでしょう。ただし、刺激成分が含まれているため、使用前に窓を開けて換気したり、ゴム手袋を使って皮膚を保護したりするなどの工夫が必要です。強力な洗剤を使っても落ちない場合は、物理的に削り落とすという方法もあります。

2-3.重曹とクエン酸を併用した方法

重曹とクエン酸を使う前に、クエン酸はクエン酸スプレー(水100ml:クエン酸大さじ1/2)を作ってください。スプレーボトルに入れて使うと便利ですし、ほかの汚れ箇所にも気軽に使うことができます。重曹は重曹水を使って掃除するシーンが多いですが、トイレの尿石を落とす際は粉末のままでOKです。

  1. 尿石部分にクエン酸スプレーを吹きかける
  2. その上から粉末状の重曹をまぶす
  3. 30分ほど放置した後、トイレ用ブラシで尿石をこする

掃除方法は以上のようにとても簡単です。重曹とクエン酸の化学反応によって、尿石の汚れを緩和し落とすことができます。ここでのポイントは、30分ほど放置することです。放置すると成分が尿石の奥深くまで浸透し、より効率的に落とすことができるでしょう。

2-4.トイレットペーパーと尿石専用の洗剤を使う方法

尿石専用の洗剤を使用する場合は、トイレットペーパーを活用しましょう。主な掃除方法は以下の手順を参考にしてください。

  1. 便器の水たまり部分が汚れているなら、そこの水をポンプなどで抜く
  2. 汚れがきになる箇所に洗剤をかけてしばらく放置する
  3. その後、トイレ用ブラシを使って落とす
  4. それでも落ちない場合はトイレットペーパーで汚れた部分をおおう
  5. そこに洗剤をかけてしばらく放置する
  6. 水を流して、残った汚れをブラシで落とす

尿石専用の洗剤を使っても落ちない場合は、サンドペーパーなどを使う方法があります。サンドペーパーを使って尿石を削り落とす際は、洗剤で汚れをふやかした後がおすすめです。ただし、便器が傷ついてしまう恐れがあるため、目が粗いサンドペーパーは使わないようにしましょう。また、強い力でこするのもNGです。

3.自分で取れないときの対処法

自分で試してみても尿石汚れが取れないときは、どうすればいいのでしょうか。

3-1.プロのハウスクリーニングを依頼する

放置期間が長い尿石汚れほど、自分で落とすことが難しいので、そんなときはプロのハウスクリーニングを依頼してください。プロの業者は、尿石汚れを落とす専用の洗剤や専用機器を使うので、より効率的に汚れを落とすことができます。プロに依頼する費用はかかりますが、自分で汚れを落とす手間と時間が省けるでしょう。また、きれいに除去した後は、できるだけ尿石汚れが付着しないように日ごろから掃除を心がけることが大切です。

3-2.リフォームを検討するのも選択肢の1つ

トイレが古かったり、和式タイプの便器を使ったりしている場合は、この機会に思いきってトイレをリフォームするのも選択肢の1つです。基本的に、トイレ便器は陶器でできているため、ヒビが入ったり割れたりしなければ100年持つといわれています。しかし、便器の変色が起こったり、表面に傷がついて汚れが落ちにくくなったりすることがあるでしょう。使いづらさを感じたときこそ、便器を交換する絶好の機会です。トイレリフォームは数十万円かかりますが、使いやすいトイレにするにはリフォームの検討をおすすめします。

4.トイレの尿石を防ぐポイント

ここでは、トイレの尿石汚れを防ぐ方法とポイントを解説します。

4-1.使用後は適量の水を流す

トイレを使用した後、節約のために何回か溜(た)めてから流していないでしょうか? 排便の際に少量の水で流す人がいるようですが、これでは汚れが残りやすくなってしまいます。毎日こまめに掃除していても、すぐに尿石汚れが蓄積されてしまうので使用後は必ず流すようにしてください。適量の水で毎回流すようにすれば、尿石のもとをなるべく残さずに済みます。また、気になる汚れがあればサッと除去できるように、掃除グッズ一式を近くに置いておくと便利です。気づいたときに掃除するという心がけが、尿石の予防につながります。

4-2.できるだけ毎日こまめに掃除する

「トイレ掃除の頻度はどのくらい?」と疑問に思う方が多いですが、理想は毎日です。トイレは毎日使う場所だからこそ、使用するたびに汚れがついてしまいます。前述したように、汚れが蓄積されるほど頑固な汚れになり、尿石の黄ばみも発生しやすくなるものです。そのため、できるだけ毎日こまめに掃除するようにしてください。トイレ掃除が面倒と感じる方は多いと思いますが、便器の中だけでも洗剤をサッとかけてブラシでこするだけでOKです。掃除に1分もかからないので、朝にパッと済ませることができるでしょう。日ごろのトイレ掃除を心がければ、大掃除も楽になります。

4-3.便器用の洗剤は酸性タイプを使う

現在、便器用の洗剤はどんなタイプを使っているでしょうか? 尿石はさまざまな成分を含んでいますが、尿自体はアルカリ性の性質を持っています。そのため、普段の便器掃除に酸性の洗剤を使えば、尿の成分が残りづらくなるというわけです。できれば、便器用の洗剤に酸性タイプを選んでください。しかし、便器の種類によっては、酸性の洗剤を使うと逆に傷つき汚れてしまうタイプがあります。トイレの説明書を読んで、酸性タイプの洗剤を使っても大丈夫か確認したほうがいいでしょう。

4-4.市販の尿石除去剤を活用する

薬局などに売られている市販の尿石除去剤を活用するのも予防法の1つです。尿石除去剤を設置することで、水を流すたびに洗浄剤が便器の中をきれいにしてくれます。尿石の付着そのものを未然に防いでくれるでしょう。掃除時間がない方や水と節約にこだわっている方は、尿石除去剤の利用がおすすめです。小便器ならその中に、大便器ならタンクの手洗い蛇口の下に設置してください。

5.トイレの尿石に関してよくある質問

トイレの尿石に関する質問を5つピックアップしてみました。

Q.尿石汚れを放置するとどうなるのか?
A.人の尿に含まれる物質が雑菌によって変質したものが尿石です。そのため、放置するほど雑菌が繁殖し、不衛生な環境になってしまいます。また、出してすぐの尿には臭いがほとんどありませんが、雑菌が混ざった尿は悪臭が漂うことになるでしょう。雑菌によって分解されるため、嫌な臭いがトイレ内に充満します。トイレのドアを開け閉めするたびに悪臭が室内に流れ、生活にも悪影響を及ぼす恐れがあるでしょう。尿石は放置するほど頑固な汚れになってしまうので、早めに除去してください。

Q.尿石を落とす際の注意点は?
A.酸性洗剤をアルカリ性の洗剤と混ぜて使わないことです。自然由来の成分でできている重曹とクエン酸を併用するのは問題ありませんが、市販の洗剤には強力な成分が含まれています。そのため、この2つを混ぜてしまうと有害なガスが発生してしまうでしょう。酸性洗剤を使った後にほかの洗剤を使う場合は、よく洗い流してから使ってください。また、酸性洗剤が金属部分にかかってしまうと、酸によって金属が溶けてしまい変色の原因になってしまいます。洗剤がかかってしまったら、すぐに水で洗い流しましょう。

Q.普段からできる尿石汚れの予防策は?
A.トイレの照明を明るくすることも、普段からできる尿石汚れの予防策です。トイレを落ち着いた場所にするために、少し暗い照明にすることが多いでしょう。けれども、暗い照明や間接照明だけでは、汚れが分かりづらくなってしまいます。汚れのチェックだけでなく、便や尿による健康チェックもできなくなってしまうので、トイレの照明はできるだけ明るくしてください。

Q.トイレの尿石を落とす便利グッズは?
A.多くの家庭にあるものとしては、お酢がおすすめです。お酢は酸性の性質を持っているため、アルカリ性の尿石汚れを落とすことができます。強い洗剤が苦手な方や環境にやさしい洗剤を使いたい方におすすめです。また、陶器用研磨パッドもトイレの尿石掃除におすすめのグッズとなります。陶器用研磨パッドは耐水性サンドペーパーよりもやさしい材質で作られているため、安心して削り取ることができるでしょう。

Q.トイレクリーニングの費用相場はいくらぐらいか?
A.汚れ具合や清掃業者などによって大きく異なりますが、トイレクリーニングの費用相場は約4,000~10,000円です。トイレクリーニングのほかに、コーチングを施すこともできます。トイレのコーディングを行うことで、その後の掃除が楽になるでしょう。また、キッチンや風呂場などの水まわりと併せて、トイレ掃除を依頼することも可能です。プランで依頼したほうがお得になるケースもあります。

まとめ

トイレに付着する尿石は、とても頑固な汚れです。放置する期間が長くなるほど頑固になってしまい、簡単に落とせなくなってしまいます。だからこそ、日ごろからこまめに掃除することが、尿石の対策になるでしょう。自分でなかなか落とすことができない場合は、ハウスクリーニングを依頼するのも選択肢の1つです。風呂・キッチンなど水まわりの掃除をまとめて依頼できるため、手間と時間をかけずにきれいにできるでしょう。後は、尿石汚れがつかないように日ごろからの掃除を心がけてください。