アパート退去時の掃除はどこまでやる? 原状回復のガイドラインとは

アパートの引っ越しが決まったら、荷物の準備と同時に、退去時の掃除についても考えておきたいものです。どこまで掃除すればいいのか、掃除によって戻ってくる敷金は変わるのかなど、知りたいことがたくさんあることでしょう。この記事では、アパートの退去に伴う掃除について、注意点や掃除のポイントなどを詳しく解説します。

  1. アパート退去時の掃除の必要性
  2. アパート退去時の掃除と敷金について
  3. アパート退去時の掃除方法
  4. アパート退去時の掃除に関するよくある質問

この記事を読めば、アパートの退去時にはどのように掃除をすればいいのかがよく分かります。敷金の返還にも有利になる掃除のポイントをぜひ役立ててください。

1.アパート退去時の掃除の必要性

アパートを退去するときには掃除をする必要があります。

1-1.必要性

アパートを借りている人は、賃借人として、常識の範囲内で注意を払って賃借物を使う義務があります(民法400条:賃借人の善管注意義務)。したがって、日頃から掃除を行うことはもちろん、退去時にも掃除をする必要があるのです。

1-2.借主の義務?貸主の義務?

賃貸住宅を退去するとき、借主には部屋の「原状回復」の義務があります。原状回復に関しては、条件や費用負担について、借主と貸主の間でトラブルが多いことから、国土交通省がガイドラインをまとめました。このガイドラインでは、原状回復を以下のように定義しています。

原状回復とは、賃借人の居住、使用により発生した建物価値の減少のうち、賃借人の故意・過失、善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用による損耗・毀損を復旧すること

出典:「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」(国土交通省)

ここで知っておきたいことは、通常の使用による劣化や経年変化に対しては、借主に回復の義務はないということです。一方、貸主は、物件の設備が壊れたりした場合には修繕する義務があります。

1-3.どこまですべきか、考え方のポイント

原状回復とは、入居時の状態に戻すことではありません。通常の使用による経年変化を超えた部分に対して、回復を求められるものです。通常の使用とはどのようなものなのか、「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」の中から、掃除に関するものをピックアップしてみました。参考にしてください。

1-3-1.借主負担:通常の掃除を怠ったことで生じた汚れの掃除など

  • 結露を放置したことによるカビ
  • キッチンの油汚れを放置したことによるこびりつき
  • タバコのヤニによるクロスの変色・臭い
  • くぎ穴・ネジ穴(クロスの張り替えが必要なもの)
  • 風呂・トイレ・洗面台の水アカ・カビ
  • 雨の降り込みによる床の色落ち
  • カーペットの汚れを放置したことによるシミ・カビ
  • 冷蔵庫下のサビ跡
  • ペットによる傷や排せつ物の臭いなど

1-3-2.貸主負担:次の入居者を確保するための補修など

  • 畳の表替え
  • フローリングのワックスがけ
  • 全体のハウスクリーニング
  • エアコンの内部洗浄
  • 畳やクロスの日焼けによる変色
  • 画びょう・ピンの穴補修
  • 壁に貼ったポスター跡のクロスの変色など

2.アパート退去時の掃除と敷金について

アパートを退去するときの掃除の費用について説明します。

2-1.決まりごと、敷金について

敷金とは、家賃滞納や原状回復の費用として充当するために、借主が貸主に預けているお金です。退去にあたり、特別な掃除や修繕など、原状回復に費用がかかった場合には、敷金から差し引かれ、残金が借主に戻ってきます。
掃除については、日常的に怠りなく行っていた場合は、ハウスクリーニングの代金を別途請求されることはないでしょう。しかし、契約によっては、ハウスクリーニング代が含まれている場合があるので、契約書をよく確認することが大切です。

2-2.掃除で返金される敷金が増える?

掃除をしっかりすることで、戻ってくる敷金に差が出ることがあります。退去日が決まると、荷造りや手続きで忙しいものですが、掃除の予定も立てておきましょう。1-3で説明したように、掃除を怠ったことによる汚れは、借主の負担で原状回復しなければなりません。カビ取り・水アカ掃除やシミ抜きなど、退去までに少しでもきれいにしておけば、その分敷金が減るのを防ぐことができるのです。

2-3.そのほか、注意点、トラブルなど

民間の賃貸借契約は、それぞれ個別の契約によって成り立っています。掃除など、原状回復の条件についても個別に契約内容をよく確認することが大切です。退去時には、不動産業者立ち合いのもと、修繕の要・不要や負担について確認しましょう。チェックリストなどを使うと便利です。

3.アパート退去時の掃除方法

アパートを退去するときの掃除は、普段の掃除とどう違うのでしょう? ここでは、ポイントを説明します。

3-1.どこまですべきか

アパート退去時の掃除は、大掃除のように隅々までピカピカにする必要はありません。しかし、通常の手入れを怠っていたと思われないような掃除をする必要があります。

3-2.よくある汚れ

退去のときにチェックされる汚れには、以下のようなものがあります。

  • シミ汚れ:カーペット・クロス・フローリング・畳
  • カビ汚れ:風呂場・洗面所・トイレ
  • 水アカ:シンク・洗面ボウル・バスタブ・鏡
  • 油汚れ:レンジ回り・換気扇回り
  • その他:ヤニ汚れ・ペットの毛・臭い

3-3.掃除方法とは

引っ越しの当日にカビ取りや油汚れの掃除をする時間はありません。水回りやキッチンの掃除は、できれば事前に済ませておきましょう。掃除の方法は、日常的に掃除をしていれば、それほど大変なことではありません。いつもの掃除にプラスして、カビ取りや水アカ取りを行えばいいのです。引っ越し当日には、家具や大型家電など荷物を運び出したあとに大量のほこりが出ます。押し入れや天袋など、日頃は掃除機をかけないところにも掃除機をかけ、さっと拭き掃除をしておくといいでしょう。
引っ越しが終わったあとに水回りの掃除をしたいという場合は、旧居に掃除道具を残しておき、後日掃除をします。電気・水道・ガスを止めてしまう前に済ませましょう。

3-4.掃除のポイント

水回りをきれいにしておくと印象がよくなります。特に風呂場のカビとキッチンのシンクには気をつけてください。また、鏡やガラス、水道の蛇口など、磨いて光る部分をピカピカにしておくと、いかにも「掃除をした」という雰囲気が伝わるのでおすすめです。
通常の使用による畳や壁紙の日焼け、家具を動かした跡は気にすることはありません。あとは、退去の日までに、ごみをすべて捨てておくことも大切です。

4.アパート退去時の掃除に関するよくある質問

Q.子どもがふすまに落書きをしてしまいました。張り替え費用は敷金から引かれますか?
A.落書きは、借主の故意による汚れなので、修繕は借主の負担になるでしょう。

Q.ペットのトイレの臭いが壁にしみついています。
A.ペットの飼育は、賃貸住宅ではまだ一般的とは言えません。通常の使用の範囲を超えることから、ペットによる汚損は借主の負担による原状回復が必要でしょう。

Q.お風呂場の壁に毛染め剤のシミがついてしまいました。普通に掃除しても取れません。どうすればいいでしょう?
A.カビ取り用の漂白剤が効果的です。クレンザーなどでゴシゴシこすると傷をつけてしまう場合があるので気をつけましょう。

Q.敷金ゼロの物件の場合、原状回復の費用の負担はどうなるのですか?
A.貸主から原状回復費用の請求書が送られてきます。内容をよく確認し、支払いましょう。

Q.テレビの後ろの壁が黒ずんでしまい、拭いても取れません。借主の負担で壁紙を変えなければいけないでしょうか?
A.テレビの後部壁面の黒ずみは「電気ヤケ」と呼ばれ、一般的にみられる現象です。通常の使用ととらえられるため、借主の負担にはならないでしょう。

まとめ

退去のときの掃除によって、大切な敷金をムダに失わずに済みます。引っ越すことが決まったら、賃貸契約書類をよく確認して、早速掃除に取り掛かりましょう。立つ鳥跡を濁さずで、気持ちよく新しい生活をスタートさせてください。