大切な先祖を祀(まつ)るお墓は、お墓参りをするたびに掃除をするのが理想です。お墓は日ごろから風雨にさらされているため、泥・ホコリ・コケなどが付着します。墓石を守り続けるためにも、定期的に掃除をしてきれいな状態を維持しましょう。

本記事では、お墓の掃除方法についてご紹介します。

  1. お墓掃除の基本
  2. お墓の掃除方法
  3. お墓をきれいに保つポイント
  4. お墓掃除でよくある質問

この記事を読むことで、お墓掃除についてよく分かります。また、墓石掃除に適した道具や洗剤などについて知ることができ、正しい掃除の仕方を身につけることができるでしょう。

1.お墓掃除の基本

まず、墓石に付着する汚れの成分や掃除の必要性などを見ていきましょう。

1-1.お墓の特徴・掃除する箇所

墓石の表面は滑らかですが、肉眼では見えない細孔という穴があるのが特徴です。そのため、汚れが細孔に入り込みやすく、落としにくい汚れとなってしまう原因となります。加えて、花立てや水鉢部分は水を貯(た)めるため、水垢(みずあか)やコケの付着も起こるものです。お墓の掃除をする際は、墓石だけではなく、区画全体をしっかり掃除するように心がけましょう。足場も丁寧に掃除を行ってください。

1-2.汚れの成分

既述したとおり、墓石に付着する汚れは、泥・ホコリ・コケなどです。ほかには、カビ・お供えものによるシミ・黒ずみなどがあります。黒みを帯びた墓石に多く見ることができるのは、紫外線を浴びることで起こる虹彩(こうさい)現象です。光の乱反射で、墓石が虹色に変色する現象を指します。虹彩(こうさい)現象は、墓石の表面をしっかり掃除することである程度改善するでしょう。

1-3.掃除の必要性

墓石は代々受け継がれていくものです。掃除を怠った場合、墓石が劣化し、朽ち果てた状態になることもあります。とはいえ、きちんとメンテナンスを行っていても、墓石の経年劣化は避けてとおれません。紫外線・風雨・排気ガスなど、さまざまな要因が重なり、自然と劣化が進みます。老朽化した墓石は、新たなものに変えなければならないなど、大がかりな作業と多額の費用を必要とするため、遺族の負担は大きくなるでしょう。そのため、掃除をしっかり行い、墓石に付着した汚れを取り除いて、劣化を食い止めることが大切です。

1-4.掃除の頻度・タイミング

お墓の掃除は、年に数回で問題ありません。春と秋のお彼岸やお盆など、お墓参りの時期に合わせて大掃除を行いましょう。ただし、自宅からさほど離れていない場合は、1か月に1回程度のペースで掃除をすれば、お墓をきれいな状態で保(たも)つことができます。こまめに掃除をしておくことで、お墓参りのシーズンに大がかりな掃除をしないで済むでしょう。

2.お墓の掃除方法

掃除に使う道具や洗剤など、墓石に適したものを選ぶのに迷うことが多いものです。墓石掃除に最適なものを覚えておきましょう。また、頑固な汚れがある場合の対処法などを解説します。

2-1.使う道具・洗剤はコレ

お墓掃除に使う道具は、ほうき・ちりとり・バケツ・柄杓(ひしゃく)・スポンジ・雑巾・歯ブラシ・割りばしなどです。スポンジは2種類用意し、1つはメラミンスポンジにしましょう。メラミンスポンジは、簡単に汚れを落とすことができるアイテムで、墓石掃除に役立ちます。ただし、文字の部分に使用する場合は、メラミンスポンジが削れてカスが残ってしまうため、普通のスポンジを使って掃除をしてください。スポンジで届かない細かな部分は歯ブラシを使って磨くときれいになります。洗剤は、ホームセンターなどで販売されている墓石用洗剤を使いましょう。墓石用洗剤は、墓石に傷がつかない優しい成分でできています。また、墓石の表面をきれいに仕上げることができるので、頑固な汚れがある場合にも有効です。

2-2.掃除方法・流れ

お墓掃除は、区画全体をほうきで掃き、ちりとりで落ち葉やゴミなどを集めることから始めます。あらかじめ、墓石全体もほうきを使って軽くホコリや汚れなどを落とすといいでしょう。掃き掃除を終えたら、墓石の上から水をかけ、墓石用洗剤をつけて水洗いをします。スポンジを使うときは、墓石に傷がつくのを防ぐため、優しく撫(な)でるようにこすってください。コケが発生している部分は入念に掃除をしましょう。墓石全体を掃除したら、水受けやお花立てなど部分的な掃除に移ります。水を使う場所は黒ずみやカビが発生しやすいため、歯ブラシや割りばしを使った掃除方法がおすすめです。割りばしを使う場合、先端に薄いクロスを巻きつけておくときれいになります。クロスは、入浴時のボディータオルなど目の粗いものが適しているでしょう。細かな部分を仕上げたら、再度墓石の上から水を流し、洗剤をきちんと落としてください。雑巾で丁寧に墓石の拭き取り掃除をして終了です。

2-3.頑固な汚れがある場合は?

墓石に付着する汚れの多くは、水垢(みずあか)です。水垢(みずあか)は通常の掃除では落とすことができない場合があります。自分で掃除をする場合は、メラミンスポンジと墓石用洗剤を使った掃除がおすすめです。メラミンスポンジは定着した汚れでも、効率よく汚れを落とすことができる万能アイテムで、墓石を傷つけることなく掃除をすることができます。ただし、自分なりに掃除をしても汚れを落とすことができない場合は、無理にこすって落とそうとせず、プロの掃除業者に依頼する方法がおすすめです。

2-4.墓石の種類によってはプロの力が必要

墓石は表面が滑らかな素材ばかりではありません。ざらついた材質のものは、自分で掃除をするのが難しい場合もあります。プロの業者に依頼したほうが、墓石を傷つけることなく、きれいに仕上げることができるでしょう。掃除を依頼する費用はかかっても、墓石は簡単に交換ができるものではないため、掃除費用を墓石の維持費と捉え、業者に依頼することも検討してみてください。

3.お墓をきれいに保つポイント

お墓の掃除方法と併せ、きれいな状態を維持するポイントも覚えておきましょう。

3-1.長く放置しないこと

お墓の汚れは、日々の汚れが蓄積してできるものです。お墓が遠方でなかなかお墓参りに行くことができないという場合は、長く放置して手つかずになってしまうことがあるでしょう。とはいえ、日々の汚れに加え、墓石は経年劣化も起こりやすいものです。こまめに管理や掃除などの手入れをすることが維持するために大切なポイントになります。遠方で足を運ぶことができない場合は、業者に依頼するなど、定期的な掃除をするように心がけてください。

3-2.お墓掃除は午前にやるのがおすすめ

お墓掃除をする時間帯は、午前がおすすめです。空気が澄んでいる午前のほうが、気持ちよく掃除をすることができるでしょう。また、墓石の掃除には水を使います。午前に水洗いをし、午後に乾かすというのが理想です。また、月に1回程度行うときれいな状態を維持することができます。しかし、お墓掃除が義務のようになっては、足を運ぶことだけでも苦痛に感じてしまうでしょう。精神的な負担にならない程度に留(とど)め、健やかな気持ちで行うようにしてください。

4.お墓掃除でよくある質問

お墓掃除は、進め方や道具などで分からないことが多いと思います。質問集を集めました。お墓掃除の参考にしてください。

Q.区画内の掃除を行う場合に必要なものは?
A.軍手とゴミ袋を用意しましょう。区画内には砂利を敷き詰めていることが多く、雑草が生えてしまい、見栄えが悪くなってしまいがちです。除草作業を行う場合、怪我(けが)や虫さされ防止のため、軍手を装着してください。区画内に植栽がある場合は、剪定(せんてい)用のハサミを持参して手入れをしましょう。

Q.墓石掃除にたわしを使ってはいけないのか?
A.たわしは、墓石を傷つける恐れがあるため、なるべく使用は避けましょう。傷がつきにくい柔らかめのスポンジを使用したほうが安心です。歯ブラシを使う場合も、ゴシゴシこすり過ぎないように注意してください。

Q.墓石用洗剤以外のものは使わないほうがいいのか?
A.はい、使わないほうがいいでしょう。洗剤の中には研磨剤などを含むものもあるため、墓石の表面がえぐられてしまう恐れがあります。優しく洗うことができる墓石用洗剤を選んでください。

Q.線香の燃えカスはどのように掃除をすればいい?
A.燃えカスは処分し、線香立ての中をきれいに掃除しましょう。線香立てを取り外し、スポンジで水洗いをするときれいになります。

Q.お墓の掃除が終わったらやるべきこととは?
A.古いお供えものや掃除で出たゴミを取りまとめ、きちんと持ち帰りましょう。また、掃除道具を共有で使う墓地の場合は、使用後にきれいな状態にしてから元の場所へ戻してください。

まとめ

お墓の掃除は、春と秋のお彼岸とお盆など、お墓参りに合わせて行うのが一般的です。とはいえ、お墓に付着する汚れは、日々の積み重ねでできるものであるため、自宅から近い場所にあるなら、月に1回程度掃除を行うようにしましょう。墓石は経年劣化が起こるものです。日ごろからきちんと掃除をしていれば、墓石の劣化を防ぎ、寿命を延ばしてくれます。お墓は代々受け継がれていくものですから、きちんと手入れをしておくことが大切です。お墓の掃除方法をしっかり理解し、誤った方法で傷などをつけないように注意してください。