引っ越しには大変な労力も必要ですが、コストもかかります。なるべく出費を抑えるために、引っ越し業者を使わず、大型家電製品を運ぼうと考えている方もいるでしょう。自力で引っ越しをするのは大変ですが、体力のある方なら乗り切れるはずです。

ただし、冷蔵庫や洗濯機などの大型家電製品は特性を知っておき、搬入後も安全に使えるように配慮して行わなければいけません。特に、背の高い冷蔵庫を運ぶのにはコツや注意すべき点があります。

大型家電製品を運ぶために、引っ越し前にしておきたいことも覚えておきましょう。重量のあるものを持ち上げ、腰痛を引き起こす方も少なくありません。体へのダメージをなるべく小さくするポイントもご紹介します。

  1. 冷蔵庫の運び方と搬出時の注意
  2. 洗濯機の運び方と搬出時の注意
  3. 腰痛防止のポイント

1.冷蔵庫の運び方と搬出時の注意

単身者用の小さいサイズなら1人でも運搬可能ですが、背の高い大型サイズになると手間取ることもあるでしょう。冷蔵庫は、搬出時に注意しなければ内部機器へ悪影響を与えてしまいます。 安全に運搬するコツをご紹介しましょう。

1-1.搬出前の準備

冷蔵庫は、引っ越し前に中身を整理しておきます。なるべく食材を使いきる、思いきって処分するなどの方法で空っぽにしておかなければ運べません。食材が傷みやすい真夏を避けた近距離の引っ越しであれば、クーラーボックスを活用して新居で使う方法もいいでしょう。

引っ越し前夜に、冷蔵庫の電源は必ず抜いておきます。電源を抜くのは、冷凍庫内の霜を溶かすことが目的です。搬出直前に溶けた水を取り除(のぞ)け、ほかの荷物が濡(ぬ)れて水浸しになる事故を防ぐことができます。霜を溶かしきるまでに、16時間かかるといわれていますので、引っ越し作業開始予定時刻から逆算し、電源を抜くタイミングを考えましょう。製氷機能は、引っ越しの2日前までに停止しておきます。

1-2.運び方

冷蔵庫を運ぶときに1番気をつけたいのは、立てた状態で移動すること。バンタイプの車より軽トラックなどを活用してみてください。引っ越し業者に依頼した場合、搬出時にジャバラと呼ばれる緩衝材で冷蔵庫を保護して運びます。ジャバラはホームセンターでも購入可能ですが、5000円程度の費用がかかるため、コスト削減をめざす方はダンボールなどで代用しましょう。

エアーキャップを巻いた後に、ダンボールでしっかり冷蔵庫を包みます。搬出中に扉が開かないように固定する目的としても有効です。不用になった毛布やバスタオルでも可能。ロープで固定すると、滑りやすさを解消できて安全ですね。搬出時の持ち手にもなり、安定感が増すでしょう。

使える場所なら、台車を使うとスムーズに移動でき、体への負担も少なくなります。 通路の壁や障害物にぶつかったり、こすったりして傷をつけないために必要です。冷蔵庫本体への傷も防げます。

1-3.搬出時の注意点

横置きにしてはいけないのは、冷蔵庫の構造に理由があるからです。冷蔵庫を冷却するガスが詰められています。ガスがコンプレッサーで圧縮し、液体化したオイルが循環してまたガスに戻り、再び圧縮して循環するシステムです。

横にすることで、冷却ガス内に液体化したオイルが混ざってしまい、適正な運転がなされなかったり、故障したりする原因となります。どうしても横置きでしか運べない場合は、設置後に1日電源を入れず放置し、ガスとオイルが分離して落ち着くのを待ちましょう。

立てて運搬できた場合でも、設置後は冷蔵庫がしっかり冷えるまで4〜5時間かかります。食材が腐敗しないように、冷えるまで収納するのは待ちましょう。

冷蔵庫は立てて運ばなければダメなんですね。
はい。横にすると故障の原因となります。

2.洗濯機の運び方と搬出時の注意

冷蔵庫と同様に、引っ越し前日までに水抜きが必要なのは洗濯機です。準備をしておけば、ほかの荷物が水で濡(ぬ)れる心配もありません。冷蔵庫とは大きさは違っても、洗濯機も重量がある荷物。運び方のコツを知って、なるべく楽な体勢で搬出してみてください。

2-1.搬出前の準備

必ず、洗濯機の給水ホースと排水ホースに残っている水を抜きましょう。先に給水ホースの水抜きを行います。水道栓を閉めてから脱水コースを1分。ホースに残った水は、洗濯槽へ移動しています。給水ホースを外して残っている水を排出し、給水ホースは完了です。

続いて、排水ホースの水抜きを行います。洗濯機を傾け、排水口から排水ホースを外して残留している水を排出しましょう。洗濯機内部とホースに残っている水を出し切れれば完了です。床面が濡(ぬ)れる可能性もあるので、バスタオルなどを用意しておくと安心でしょう。

2-2.運び方

冷蔵庫より慎重な運び方が求められるのが、洗濯機。階段など傾斜で斜めにならないように注意する必要があります。コードやホース類は巻いた状態でビニール袋にまとめておきましょう。ビニール袋の上から本体に固定すれば、部品がなくなるなどの失敗を防げます。

冷蔵庫のようにダンボールなどで梱包(こんぽう)せず、本体表面にある持ち手を活用してみましょう。横置きにはしないでください。

2-3.搬出時の注意

洗濯機は、冷蔵庫より繊細な扱い方が必要です。洗濯槽は、洗濯機本体に3〜4カ所をフックで吊(つる)しているだけのシンプルな構造。斜めに傾ける、激しく振動を与えても、簡単にフックが外れてしまいます。

もしも洗濯槽が外れてしまった場合には、専門業者による分解修理でなければ直せません。ドラム式洗濯機の場合、固定する専用金具が付属されています。

予防策として行っておきたいのは、洗濯機本体と洗濯槽のすき間を埋めることです。洗濯槽を触ってみると、手で簡単に揺らすことができますよね。大きめのバスタオルを詰めてぐらつきを固定し、安定した状態で搬出するのがおすすめ。運搬中も横置きにするとフックが外れてしまいます。立てた状態を保ちましょう。バスタオルで固定する際は、洗濯槽のすき間に落ちてしまわないように注意してください。

洗濯機も水抜きをし、慎重に運び出さなければダメなんですね。
はい。ですから、ドラム式など重い洗濯機は無理に1人で運ばないようにしましょう。

3.腰痛防止のポイント

冷蔵庫や洗濯機は重量があり、体に負荷がかかりますよね。引っ越しはたくさんの荷物を移動するため、数を減らそうと無理に重たい荷物を作ってしまうケースも。1度に重たいものを運ぶのも、腰への負担が大きいでしょう。持ち上げた勢いで腰痛になる方もいて注意が必要です。慢性化しやすい腰痛。どのような防止策があるのでしょうか?

3-1.姿勢

運ぶ姿勢に意識を傾けてみてください。ダンボールなどを運ぶ際、重心がぐらついていると腰に負担がかかります。なるべく荷物は体と密着した状態を保ち、腰の位置で持つといいでしょう。腕の力だけで持たず、お腹(なか)に乗せるようにして支えれば楽です。

3-2.片膝(ひざ)をつく

慌ただしい引っ越しだと、つい勢いをつけ、腰を曲げた姿勢で荷物を持ち上げようとしてしまいますよね。何気ない仕草で、腰痛のきっかけにつながるのです。ダンボールなど荷物を床面から持ち上げる場合、片膝(ひざ)をついて、腰だけに荷物の負荷がかからないように意識しましょう。

腰を落としてから持ち上げるんですね。
はい。足を伸ばしたまま腰だけを曲げて持ち上げるのは危険です。注意してください。

まとめ

冷蔵庫と洗濯機の運び方についてご紹介しました。

  • 冷蔵庫の運び方と搬出時の注意
  • 洗濯機の運び方と搬出時の注意
  • 腰痛防止のポイント

冷蔵庫も洗濯機も前日に水抜きをしておくことが大切です。冷蔵庫では、冷却システムの故障を招くこともあるので、しっかり立てて搬出するようにしましょう。洗濯機は、洗濯槽のフックが外れないように傾けず慎重に搬出することが必要です。