親の家を片付けるためには、まず、親を納得させることが大切です。なぜ片付けが必要なのかきちんと説明した上で、一緒に片付けようと呼びかけましょう。70〜90歳を迎える人たちは、ものが少ない時代を経験してきました。そのため、「捨てるのがもったいない」という気持ちが強く、捨てられずにいるのです。本記事では、親の家を片付ける方法などを解説します。

この記事を読むことで、親の家をキレイにするポイントや生前整理などの方法が分かります。悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。

1.親の家を片付ける重要性・現状は?

親の家を片付けは、いずれゴミ屋敷という社会問題に発展する可能性もある問題です。まずは、片付けの重要性を確認しましょう。

1-1.不用品であふれている家は悪環境

親の家に行くたび、どんどん増えるものに不安を感じるのではないでしょうか。不用品、要らないものであふれた住まいには、大ケガのもととなるトラップがたくさん潜んでいるのです。年老いた状態の親が転ぶと、それだけで体が不自由になり、介護が必要になることもあります。また、親が亡くなった場合、大量の不用品を片付けなければならないのは自分たちです。親の健康を守るだけでなく、いざというときのために負担にならないよう、できるときに片付ける必要があります。

1-2.実家の片付けは問題点がたくさん!

親の家を片付けるといっても、さまざまな問題点が立ちふさがります。まずは、どのような問題点があるのか、現状をチェックしていきましょう。

1-2-1.遠方に住んでいる

現在の日本は、核家族化が進行しています。実際に、親と離れて生活している方が多く、実家を片付けたくても移動時間や交通費もかかってしまうのです。遠方に住んでいる方にとっては、片付けを始める前の準備段階で時間と費用がかかることに嫌気が差してしまうでしょう。

1-2-2.親が片付けることに乗り気でない

子供が片付けたくても、親が乗り気ではなく、片付けに拒否反応を示すこともあります。誰から見てもゴミだと思えるものでも、親からすると大切な宝物になるケースもあるのです。この場合は、親を説得させるところから実践していかなければなりません。

1-2-3.実家の片付けがトラウマや親子関係を壊すこともある

中途半端な気持ちで片付けを始めてしまうと、実家の片付けが原因で修復不可能な親子関係になったり、片付け自体がトラウマになったりするケースがあります。片付けはとても大切な作業ですが、その前に親と自分の心と気持ちを1つにする必要があるのです。

1-3.親が生きている間はゆっくり、遺品整理はなるべく早めに済ませる

親が生きている間は、完璧に片付けることが目標ではなく、気持ちに余裕を持って焦らずに片付けようとする姿勢がポイントです。また散らかるものだと思って片付けることで、親も子供も気楽な気持ちで取り組むことができます。なるべく早いうちに片付けを始め、ゆっくりとすすめていきましょう。ただし、親が亡くなった後の遺品整理は、早めに終わらせることが重要です。賃貸物件の場合は特に、遺品整理が終わるまで家賃を払い続けなければならなくなるので注意してください。

2.親の家を片付ける前にすべきこと

親の家を片付ける前にすべきことを1つずつ説明します。

2-1.価値観の違いを埋める

前述したように、親の世代はものが少ない時代を生きてきました。ものが少ない時代を生きてきた親たちの価値観を、理解することが大切です。「要らないものだから捨てるべき」と主張するのではなく、「なぜ必要と思うのか」親の意見に耳を傾けてください。価値観の違いを埋めることで、片付けも順調にすすみます。ここで、絶対にやってはいけないのは、親の価値観を否定することです。親の意見をしっかり聞いた上で、段階を踏んで整理が進められるように話し合いましょう。

2-2.親をやる気にさせる

親が片付けに乗り気でない場合は、やる気にさせるところから始めます。親をやる気にさせる方法として、片付けるメリットを挙げていきましょう。たとえば、「ものが散らかっている状態ではケガをするかもしれない」「片付けをすればリスクが減り、健康な生活を送ることができる」と伝えます。具体的なメリットを伝えれば、親も納得し、自ら片付けようとし始めるでしょう。実家の片付けが必要な理由を伝えることが大切です。

2-3.ゴミがお金になることもあると伝えよう

「ものが捨てられない」「もったいないと思う」という親の場合は、ゴミがお金になることもあると伝え説得してください。実際に、まだ使えるのにもったいないと思っているものは、使わずに物置などに放置しているケースがほとんどです。使っていないものは必要としている人へ売ったほうが、片付けと同時にお金をもらうことができます。不用品の処分はお金がかかるイメージが強いですが、買取に出せばお金がもらえますし、荷物の整理にも前向きになれるでしょう。

2-4.目標を決める

実家が広ければ広いほど、具体的なスケジュールと目標を立てることが大切です。時間と労力がかかるので、どこをいつまで片付けるのか目標を決めましょう。たとえば、クローゼットは来週の日曜日まで、キッチンは今月中になどです。目標やスケジュールを決め親と共有すれば、照らし合わせながら片付けをすすめることができます。片付けが遅れている場合は、再度見直すことも必要です。基本的に、無理のない目標とスケジュールを立ててください。

3.親の家を片付ける方法

それでは、実際に親の家を片付ける方法とポイントを解説します。

3-1.まずは大きなものから片付ける

最初に、部屋を見渡して1番に目に入る大きなものから片付けていきましょう。大きなものから片付けることで部屋がスッキリし、片付けやすくなります。特に、床が見えないほどのゴミで埋めつくされている場合は、玄関からベランダまたは庭までの通り道を作ってください。ゴミを排出する道を作らなければ、ものを片付けるスペースができません。

3-2.親と相談しながら仕分ける

不用品を「要るもの」と「要らないもの」に仕分けていきますが、この際に自分勝手に判断するのはNGです。自分から見て不要なものでも、親から見て大切なものだったり、形見になったりするものもあります。親の片付けを経験した人の中には、「自分で判断しなければよかった」と後悔している人もいるのです。そうならないためにも、明らかにゴミと思えるもの以外は親と相談しながら仕分けてください。

3-3.親が生きているうちに始める生前整理

親が生きているうちに片付けをするなら、生前整理がぴったりです。生前整理とは、生きているうちに資産や家具など、身のまわりのものを片付けることを指しています。老人施設の入所を機会に、家族が担うこともあるでしょう。生前整理をしておけば、快適な老後生活が送れるだけでなく、いなくなったときの家族にかかる負担も減らすことができるのです。生前整理のメリットを伝え、親と一緒に片付けていきましょう。

3-4.遺品整理はスピードが勝負

親が亡くなったことをきっかけに、遺品整理で実家を片付ける場合もあります。事前に、親が生前整理をしておけばスムーズに遺品整理ができますが、そのままの場合は時間と手間がかかるでしょう。しかし、前述したように、遺品整理はスピードが勝負です。どうしても自分たちで整理できない量の遺品があれば、遺品整理業を行っている業者へ依頼してください。プロに依頼すれば、時間と手間をかけることなくスピーディーに片付けを終わらせることができます。

4.親の家の片付けで注意しておきたいこと

親の家の片付けで気をつけておきたいことを、いくつか紹介します。

4-1.不用品は早めに処分する

仕分けで「要らないもの」に分けたものは、なるべく早めに処分してください。不用品を放置していると、どんどん要らないものが増えてしまう傾向があります。せっかくキレイにした実家が、すぐゴチャゴチャになってしまうでしょう。また、「必要なもの」に分けたものは、置き場所を決めて使った後は片付けることを心がけるのも大切なポイントです。

4-2.無理は絶対にしないこと

なるべくお金を使わないように、すべての作業を自分たちで行いたくなるでしょう。しかし、すでにゴミ屋敷化している状態の家は、自力だけで片付けられるレベルではありません。費用がかかるから、と無理をせず、プロの業者へ依頼する判断も重要です。無理をしてしまうと、ケガなどにつながります。

4-3.定期的に実家を訪れて様子を見る

実家の片付けは、「また散らかること」を考えた上で行うことが大切です。そのため、定期的に親の家を訪れ、様子をチェックするようにしてください。片付けたら大丈夫、と放置するのは絶対にNGです。遠方に住んでいる場合も電話をしたり、ビデオ電話などで部屋の様子をチェックしたりできます。親とのコミュニケーションを増やすのも、片付けの一歩なのです。

5.親の家の片付けに関してよくある質問

親の家の片付けに関する質問を5つピックアップしてみました。

Q.実家の片付けで最初に始める場所は?
A.第一におすすめしたいのは、台所と洗面所です。この2つの場所は、捨てるための判断に迷うことがほかの場所よりも少ない傾向があります。「要らないもの」「要るもの」の判断がしやすくなるので、比較的片付けやすい場所といえるでしょう。また、毎日使う場所でもあるため、キレイにすることで実感が湧きやすく、片付けのモチベーションにもつながります。

Q.捨てる判断に迷ったときはどうすべき?
A.迷ったものは「一時保管ボックス」に入れておきましょう。迷ったものはとりあえず保留にすることで、改めてゆっくり考えることができます。迷ったものを処分するべきか決めかねていると、それだけ時間を無駄にしてしまうので注意してくださいね。どうしても迷ったときは、無理に即決する必要はありません。

Q.親とケンカになりそうなときの対処法は?
A.親と子供では、どうしても処分したいものと処分したくないものが違うのでケンカになることもあるでしょう。そんなときは、気持ちを落ち着かせ、子供側がどこかで妥協するしかありません。特に、高齢者は環境の変化についていけず、大切なものを失ったことで悲しみ、体を弱らせてしまうこともあるのです。

Q.不用品回収にいくらかかるの?
A.あくまで目安ですが、1点あたり2,000〜4,000円ほどです。実家の片付けは大量の不用品が出てくるので、まとめて処分することになるでしょう。その際は、定額パックプランを利用してください。1点ずつ処分するよりもお得に処分できます。

Q.業者選びのポイントは?
A.不用品の回収実績があるか・買取サービスを行っているか・定額パックプランがあるか・無料相談や無料見積もりが可能かどうか確認してください。また、スタッフの対応も大切なポイントです。どのような質問にも分かりやすく丁寧に答えてくれる業者を選びましょう。

まとめ

親の家の片付けは、自分の家を整理するよりも時間と労力を消耗します。親が片付けにネガティブな考えを持っている場合は、説得するところから始めなければなりません。なるべく親の意見や考えを聞き入れながら、一緒に片付ける姿勢を見せていきましょう。また、自分たちで片付けるのが無理な場合は、業者へ依頼するのも方法の1つです。