「残置物を処分する方法がわからない」「業者に依頼できるのか?」とお悩みではありませんか? 賃貸物件のオーナーをしていると残置物の処分に頭を悩ませた経験がある方も多いのではないでしょうか。残置物は勝手に処分すると法律で罰せられる可能性があるため、その扱いには注意が必要です。

この記事では、残置物が発生する原因や処分する際の注意点・正しい処分方法について詳しくご紹介します。

この記事を読むことで、残置物と普通のゴミとの違いや、勝手に処分できない理由などがわかるはずです。ぜひ参考にしてください。

1.残置物とは?

まずは、残置物とはどのようなもののことをいうのか解説しましょう。

1-1.前の住人が残していったもの

賃貸物件における残置物とは、前の入居者が残していったもののことをいいます。通常、賃貸物件を退去する際には部屋を空っぽの状態にしなければなりません。しかし、貸主に何もいわずに家財道具などを置いていってしまう人もいます。特に残置物になりやすいのが、照明器具やエアコン・ガスコンロ・冷蔵庫などです。「処分するのが面倒」という理由で置いていってしまう例も少なくありません。

1-2.店舗や事務所に残されたものも残置物になる

店舗や事務所として使用していた物件に残されたものも、残置物になります。特に、スケルトン化工事をおこなわずに前入居者が新たなオーナーへ譲渡した場合、残置物が見られるケースが多いでしょう。店舗や事務所の残置物には、暖房設備や消火設備・オフィス機器などが多く見られます。

1-3.普通のゴミとの違いは所有権の有無

残置物は普通のゴミと「所有権の有無」という点で違いがあります。前の入居者が黙って置いていったものは、まだ前の入居者が所有権を持っていることになるのです。所有権を手放していれば普通のゴミとして扱うことができます。

2.残置物が発生する原因を紹介

なぜ残置物が発生するのか、その原因にはどのようなものがあるのかをご紹介します。

2-1.前の入居者が放置して退去した

物件を退去する際には、自分の所有物をすべて撤去しなければなりません。不要なものは処分し、必要なものは転出先へ持っていく必要があるのです。しかし、大量の荷物を処分したり運んだりするのは大変な手間であり、費用もかかります。自分で処分するのが難しく、黙って置いていってしまうケースもあるのです。

2-2.前の入居者が夜逃げした

前の入居者が夜逃げしたケースだと、残置物があることが多くなります。特に、経済的困窮が原因で夜逃げした場合は「処分費用を工面できない」という理由で多くの残置物がある場合がほとんどです。

2-3.前の入居者が突然死した

前の入居者が突然死した場合も、部屋に残された家具や日用品などは残置物として扱われます。特に、孤独死した場合は片付ける人が現れないまま残置物が放置されてしまうことが多いでしょう。

3.残置物を処分する際の注意点

残置物の処分を検討するにあたって、確認すべき注意点をご紹介しましょう。

3-1.勝手に処分するのは違法

前述したように、残置物の所有権は前の入居者にあります。そのため、勝手に処分することは違法行為にあたるのです。たとえ賃貸物件のオーナーであっても、前入居者が所有権を放棄していない限りは勝手に処分するとトラブルに発展する可能性があります。

3-2.前入居者と連絡がつかない場合は?

残置物を故意に残した場合、前入居者に連絡しようとしても連絡がつかないケースがほとんどです。本来であれば前入居者が所有権を放棄すればオーナーが残置物を処分できるのですが、連絡がつかなければそうすることもできません。その場合は、賃貸借契約を結んだときの連帯保証人に連絡して残置物の処分について相談してみるとよいでしょう。

4.残置物を処分する前に確認すべきことは?

残置物を処分する前に、次のことを確認しておきましょう。

4-1.何が残置物なのか

まずは、残置物とそうでないものの区別について確認しておくべきです。残置物は基本的に「動かすことができるもの」を指し、もともとその物件に設置されていたものは残置物に該当しません。特に、家具つきの賃貸物件だと何が残置物なのか判断しづらい点もあるため、賃貸借契約書に記載された内容を慎重に確認してください。

4-2.残置物について事前に取り決めをしていたか

前入居者と連絡がつかない場合は、賃貸借契約の際、残置物についての取り決めをしていたかどうかを確認してみましょう。契約書に「残置物があった場合、借主はその所有権を放棄したものとする」という内容の記載があれば、貸主が残置物を処分できます。そういった取り決めをしていなかった場合は、残置物を処分するために法的な手続きを踏むことになるでしょう。

5.残置物を正しく処分する方法

残置物の正しい処分方法には、以下のようなものがあります。

5-1.自治体のゴミ回収を利用する

残置物の処分方法としては、自治体のゴミ回収を利用する方法があります。ゴミの分類方法や出し方のルールは自治体によって異なるため、事前に確認しておきましょう。大型の家具や家電は粗大ゴミとして出すことになりますが、事前の申し込みや粗大ゴミ処理券の購入が必要となる場合がほとんどです。申し込みから回収まで時間がかかる場合もあるため、早めに手配したほうがよいでしょう。

5-2.自分でゴミ処理施設に持ち込んで処分する

近くにゴミ処理施設があれば自分で持ち込むことも可能です。事前予約が必要な場合とそうでない場合があるので確認しておきましょう。処分費用がいくらになるかも調べておくことがポイントです。

5-3.不用品回収業者に依頼する

残置物が大量にある場合や、自分で家から運び出すのが難しい場合は、不用品回収業者に依頼しましょう。出張回収を利用すれば自宅まで回収に来てもらえるため、手間や時間をかけずに済みます。買取に対応している業者に依頼すれば回収費用を抑えられる可能性もあるのでおすすめです。

6.残置物の処分を不用品回収業者に依頼する場合

不用品回収業者に残置物の処分を依頼する場合の依頼方法や業者の選び方・注意点をまとめました。

6-1.まずは無料見積もりを依頼する

不用品回収業者に依頼するときは、まず無料見積もりを依頼しましょう。ホームページに無料見積もりの申し込みフォームがある業者も多いので確認してみてください。無料見積もりの内容に納得できたら出張での無料見積もりを実施し、正式な見積もりを出してもらいます。見積もりの内容に問題がなければ作業日時を決定し、実際の回収作業をおこなうというのが一般的な流れです。

6-2.信頼できる優良な業者選びを

不用品回収業者を利用する際は、信頼できる優良な業者を慎重に選ぶことが重要です。以下のポイントをチェックして業者選びをするとよいでしょう。

  • 豊富な実績があるか
  • 料金体系が明確か
  • 無料見積もりを受け付けているか
  • 廃棄物収集運搬業や古物商の許可を得ているか
  • 見積書に内訳が記載されているか
  • 丁寧でスピーディーな対応か
  • 口コミの評判はよいか

6-3.悪徳業者に注意

不用品回収業者の中には悪徳業者も存在するので十分注意してください。特に、トラックで地域を回りながら無料回収を宣伝している業者は利用しないほうがよいでしょう。そのほかにも、ホームページがない業者や所在地を明らかにしない業者などは要注意です。高額な追加料金をだまし取られた例なども報告されています。

7.残置物の処分に関するよくある質問

「残置物を処分したい」という人が感じる疑問とその回答をまとめました。

Q.残置物をそのまま使用してもよいのでしょうか?
A.前入居者が所有権を放棄していることが明らかであれば、設備としてそのまま使用することも可能です。

Q.テレビや冷蔵庫は粗大ゴミとして処分できますか?
A.テレビ・冷蔵庫・洗濯機・エアコンは家電リサイクル法の対象品目なので粗大ゴミとして出すことはできません。家電量販店に回収を依頼するか、自分で指定引取場所へ持ち込むなどの方法で処分しましょう。

Q.賃貸物件の残置物を処分する費用は誰が負担するのですか?
A.前入居者や連帯保証人に請求できますが、連絡がつかない場合は貸主が費用を負担することになるケースも少なくありません。

Q.不用品回収業者に依頼した場合の料金はどの業者も同じくらいでしょうか?
A.業者によって料金体系が異なるため、事前に複数の業者に無料見積もりを依頼して比較するのがおすすめです。

Q.自分で残置物を処分するメリットとデメリットを教えてください。
A.自治体のゴミ回収を利用することになるので費用が抑えられるのがメリットです。しかし、残置物の量が多い場合は大変な労力と時間が必要になるというデメリットがあります。

まとめ

残置物が発生する原因や処分方法・処分する際の注意点などを詳しくご紹介しました。残置物は前入居者が所有権を手放さない限り、勝手に処分することはできません。前入居者が所有権を手放し、貸主が残置物を処分しなければならない状況になった場合は、どのような方法で処分するのがよいのか確認しておきましょう。