
親の遺品を整理する際、どの遺品を残すべきか捨てるべきか……と悩んでいる方は多いでしょう。遺品の量が多ければ多いほど作業に時間がかかってしまうので、処分するかしないかで手間を取るのも効率に悪い影響を与えてしまいます。スムーズに遺品整理をするのなら、時間をかけずにすぐ判断するのが理想です。
本記事では、親の遺品で残すものを選ぶ基準などについて解説します。
- 親の遺品で残すものを選ぶ基準は?
- 親の遺品で残すものの一例
- 親の遺品を保管する方法
- 遺品整理業者に依頼する方法とポイント
- 親の遺品整理に関してよくある質問
この記事を読むことで、遺品整理をスムーズに行うコツなどが分かります。悩んでいる方はぜひ参考にしてください。
1.親の遺品で残すものを選ぶ基準は?
親の遺品で残すものと捨てるものに区別する場合、何を基準にすればいいのでしょうか。
1-1.まずは遺言書の有無を確認しよう
すでに親が亡くなっていても、あくまで遺品は親の所有物です。そのため、相続人であっても正式に相続しなければ、勝手に処分したり誰かに譲ったりすることはできません。特に、遺言書がある場合、遺品に関することが記載されている可能性があります。親の遺品で何を残せばいいのか判断する前に、まずは遺言書の有無をハッキリとさせることが大切です。遺言書に遺品の整理について記述がある場合は、その内容どおりに進めていかなければなりません。遺言書がきちんと効力を発揮する形で記載されていれば、内容が法的に力を持つことになります。遺言書は読んだ後も処分せずに、大切に保管しておきましょう。
1-2.金銭的に価値があるものか
遺品の中には、現金・証券・宝石類・アクセサリー類など、金銭的に価値があるものも含まれています。金銭的に高い価値があるものやありそうなものは、手元に残しておいたほうがいいでしょう。実際、へそくりなど隠された財産を見つけられずに、そのまま処分してしまうケースがあります。相続の際には、資産の把握が不明確になっているとトラブルの原因になるので、慎重に判断していかなければなりません。また、金銭的に価値が高いものは、相続しても資産になりますし、売却してお金にすることもできます。処分するにはもったいないといえるでしょう。
1-3.手続きに必要なものや借りものか
身分証明書や印鑑・カード類・書類などは、何らかの手続きに必要なものとなります。親が交わした契約の確認や調整・解約のときには提出が求められることもあるため、これらは大切に保管しておきましょう。誤って捨ててしまうと、さらに手続きに時間がかかってしまうこともあるので注意が必要です。また、ほかの人や法人から借りているものもあるかもしれません。借りものは処分してはいけないものなので、きちんと返すまで保管してください。
1-4.心理的に大切なものか
金銭的な価値がないものであっても、親との思い出の品は心理的に大切なものといえるでしょう。故人と自分との思い出の品はもちろん、親が大切にしていた品々も残したいと思うものがあれば、手元に持っておくことをおすすめします。アルバムなどかさばるものはデータ化しておくとかさばる心配もないので安心です。
2.親の遺品で残すものの一例
ここでは、親の遺品で残すものの一例を紹介します。
2-1.故人との思い出の写真や手紙
残しておいたほうがいいものとして挙がっているのは、故人との思い出が蘇(よみがえ)る写真や手紙などです。遺品整理で多くの方が、故人が写っている写真を残す傾向にあります。写真に収められている瞬間はそのときでしか撮れないものなので、アルバムや写真は捨てるよりも残したほうがいいでしょう。また、手紙といった故人の字を思い出せるものも残しておくべき遺品です。故人が字を書いている姿は見ることができない姿ですし、字を見ることで親の姿が思い出しやすくなるでしょう。
2-2.売れるもの
親との思い出が蘇る品々のほかにも、残す遺品として以下のようなものがあります。
- 貴金属製品
- 酒類
- 仏具・仏壇
- 美術品・骨とう品
- 家電類
- 着物
- コレクション系
- 趣味・スポーツ用品
- ブランド品
- 勲章
以上の遺品は、金銭的に価値があるものなので処分するよりも売ってしまったほうが効率的です。遺品を処分するにも多額の費用がかかってしまうため、売れるものは売ったほうが費用節約にもつながります。
3.親の遺品を保管する方法
ここでは、親の遺品を保管する方法について解説します。
3-1.どこに保管するかも考える
保管場所も限られているため、遺品を残すか捨てるか判断する際は、保管場所も検討しておかなければなりません。主な保管場所としては、自宅のクローゼットや倉庫などがあるでしょう。残したいものが見つかったときには、どこで保管できるのか考えてみてください。特に、小さなマンションやアパートに住んでいる場合、残したい遺品の量がたくさんあったり、サイズが大きかったりすると、それだけでスペースが埋めつくされてしまいます。保管場所がないと困ることがないように、遺品整理の時点で考えることが大切です。
3-2.大切なものは室内に保管する
親の遺品をガレージや外にある倉庫に保管するという方も多いでしょう。屋内に保管するよりもスペースが確保できるかもしれませんが、外で保管する場合は湿気や雨水に注意しておかなければなりません。たとえば、大切な思い出のアルバムや貴金属類を屋外で保管してしまうと、湿気や水気でカビてしまう恐れがあります。カビやサビが発生してしまうと、なかなか除去できません。屋内に保管するときも、なるべく直射日光が当たらない場所で保管しましょう。特に、写真は紫外線に弱く、色あせたり写真が消えたりする恐れがあります。大切なものはなるべく室内に、直射日光が当たらない場所で保管してください。
3-3.保管前に洗濯や掃除をしておく
大切な遺品を保管する前に、洗濯や掃除を行いきれいにしておくことも大切なポイントです。汚れやホコリがついたまま保管してしまうと、カビや虫食いの原因になってしまいます。特に、着物やブランドものなど価値があるものは、カビやサビがついてしまうと着られなくなったり売れなくなったりしがちです。いずれ売却をしようと考えている方は、売却する前に洗濯や掃除を行いきれいにしておきましょう。
4.遺品整理業者に依頼する方法とポイント
ここでは、遺品整理業者に依頼する方法とポイントを解説します。
4-1.依頼するメリットは?
遺品整理業者に依頼する大きなメリットは、遺品整理がスムーズに終わらせることができる点です。自分で残すものと捨てるものを仕分けたり、要らないものを処分したりすると手間と時間がかかりますが、プロに依頼すればスピーディーに終わります。また、一気に遺品整理ができるので、時間のない方や遠方に住んでいる方などにはおすすめのです。さらに、遺品整理業者の中には、買取と処分を行っているところもあります。買取できるものが多くなるほど処分費用が節約できる点も、遺品整理業者に依頼する大きなメリットといえるでしょう。
4-2.業者選びのポイントをチェック!
遺品整理を業者へ依頼する際、「不当な料金を請求された」「残しておきたい形見を処分された」など、悪徳業者との間でトラブルも起きているので注意が必要です。悪徳業者と優良業者を見極めるために、業者選びの際は以下のポイントに注目してください。
- スタッフの対応が丁寧でスピーディーか
- 遺品整理業の実績があるか
- 整理前にヒアリングをきちんと行っているか
- 料金システムが明確になっているか
- 分からないところも丁寧に説明してくれるか
- 遺品整理士が在籍しているか
- 口コミ・評判が良いか
- 無料相談・無料見積もりを受けつけているか
4-3.作業方法も要確認ポイント
一般的に、遺品整理業者の作業は、部屋の下見から始まります。下見をした上で具体的な見積もりを提示し、納得すれば契約を交わすことになるでしょう。そして、遺品整理を始める際は、部屋の中にある大きなものから片付けていきます。事前にヒアリングした内容をもとに、要るものと要らないものへ仕分けを行う流れです。要らないものはそのまま処分し、要るものはきちんと保管します。業者によっては買取を行ったり、クリーニングサービスが含まれたりするところもあるので、説明を受ける際に大まかな流れを確認することが大切です。
4-4.見積書の内容を確認しよう
一般的に、遺品整理業者に依頼する際の費用は、部屋の広さ・不用品の量・部屋の状態などで料金が異なります。1R・1Kの場合は作業員人数が1~2名程度で約3万~8万円が相場といえるでしょう。部屋の間取りと作業員人数が増えるたびに、相場も高くなります。具体的な料金を知りたい方は、無料見積もりを利用してください。そして、具体的な見積もりを提示されたときに内訳をきちんと確認することも大切です。
5.親の遺品整理に関してよくある質問
親の遺品整理に関する質問を5つピックアップしてみました。
Q.判断に迷ったときはどうすればいいのか?
A.親の遺品を残すべきか処分すべきか迷ったときは、とりあえず保留にしておきましょう。そのまま悩み続けていると、作業が滞ってしまいます。遺品の中には、遺産になるものもあるため、相続手続きが発生するでしょう。相続手続きには期限が設けられていますし、賃貸物件で親が暮らしていた場合は退去日まで遺品整理を終わらせておかなければなりません。処分は後からでもできるので、いったん残しておくことをおすすめします。
Q.遺品整理を行うべき時期は?
A.いつ行うべきか正解はありませんが、四十九日など法事を行う時期が最適だといわれています。お通夜や葬式の段階ではまだバタバタしていますし、気持ちの整理もついていません。四十九日などの法事であれば、ある程度の気持ちも落ち着いているので、遺品整理がしやすい状況といえるでしょう。また、相続人同士が集まりやすい時期でもあります。親族がいないときに遺品整理を始めてしまうのはトラブルの原因となるため、相続人がそろいやすい日に行うのがポイントです。
Q.保管場所がない場合の対処法は?
A.トランクルームを利用する方法があります。トランクルームは、いわばもう1つの保管場所です。トランクルーム=屋外のコンテナというイメージを持っている方が多いのですが、屋内タイプも各地に存在しています。屋内型のトランクルームであれば、空調設備や防犯設備が整っているところもあるので安心して預けることができるでしょう。トランクルームの場所や広さによって月額料金が異なるため、事前の確認が必要です。
Q.遺品整理業者とよくあるトラブルは?
A.勝手に遺品を処分されたというトラブルが続出しています。遺品整理業者は自分の代わりに遺品を整理してくれるというメリットがありますが、きちんと伝わっていなかったせいで残したいものを捨てられたというトラブルが起きているのです。特に、遠方に住んでいる方が遺品整理業者に依頼する場合、電話またはメールでのやり取りになるでしょう。どういう遺品を残してほしいのか・処分してもらう遺品はどんなものなのか、具体的に打ち合わせを行ってください。処分された遺品はもとに戻ってこないので要注意です。
まとめ
親がたくさんの遺品を残した場合、その中から捨てるものと残すものを見極めなければなりません。すべての遺品を残すことはできないため、その見極めが重要なポイントとなります。遺言書があれば、記載されている内容どおりに形見分け・遺品整理を行わなければなりません。また、相続人全員と話し合いながら、残す遺品を選ぶことも大切です。後でトラブルにならないためにも、遺品整理や形見分けを行う日は四十九日にするなど、相続人が集まりやすい日にちを設定してください。