人は寝ている間にコップ1杯分の汗をかくといわれており、特に暑い夏は布団の臭いが気になって仕方がないでしょう。1日の疲れを癒(い)やすための布団なのに、寝汗の嫌な臭いがすると、ゆっくりと体を休めることができません。しかし、どうすれば臭いがついた布団をキレイにすることができるのでしょうか。
本記事では、汗をかいた布団の対処法とポイントを紹介します。
- 寝汗の基礎知識
- 汗をかいた布団の対処法
- 汗から布団を守る方法
- 寝汗の対処法
- 寝汗に関してよくある質問
この記事を読むことで、汗をかいた布団をキレイにし、清潔な状態を維持するポイントが分かります。気になっている方は、ぜひチェックしてください。
1.寝汗の基礎知識
まずは、布団と汗の関係性についてチェックしておきましょう。
1-1.寝汗をかく仕組みは?
名前のとおり、寝汗は「寝ている間にかく汗」のことです。人は深い眠りにつくため、体温を下げようとします。そのため、寝ている間にコップ約1杯分の汗をかくというわけです。寝汗は悪いものではなく、良い睡眠を取るための自然な生理現象といえるでしょう。ただし、生理現象のほかに、悪い原因で汗をかくことがあります。たとえば、ストレス・アルコールの過剰摂取・ホルモンバランスの乱れです。
1-2.汗がついた布団を放置するとどうなるか?
一晩にコップ約1杯分の汗をかくと、布団が湿気を含む状態となります。濡れたまま放置した場合、「カビ」が1番大きな問題になるでしょう。カビは、人間の汗に含まれる成分をエサとし、湿った布団という環境で増殖します。また、汗がついた布団には、黒いシミがついてしまうことになるでしょう。少しずつカビや雑菌などが増え、嫌な臭いを発するようになります。さらに、汗を吸収した布団の中は湿度が高い状態となり、湿気がこもって寝苦しくなってしまうのです。
1-3.夏だけじゃない! 冬の布団も要注意
気温が高くなる夏は、室温も上昇し寝汗をかきやすい時期です。しかし、夏だけに限らず、涼しい季節も寝汗をかきます。人の快適な睡眠環境は気温33℃、湿度50%といわれており、湿度50%を大きく上まわると寝汗がひどくなるのです。また、冬の布団は結露が起こりやすいので注意しておかなければなりません。フローリングなど通気性の悪い床に直接布団を置くと、たまった水分が発散されにくくなります。その結果、湿った暖かい布団と冷たい床との温度差で結露ができてしまうのです。温度差の激しい冬も、布団の湿気に注意しなければなりません。
2.汗をかいた布団の対処法
汗をかいた布団をキレイにする方法を紹介します。
2-1.対処の基本
「乾燥させること」「通気性を良くすること」が、汗をかいた布団の基本的な対処法です。寝汗をかいた布団は湿気が溜まっているため、乾燥させて湿気を除去します。布団を敷きっぱなしにすると通気性が悪くなるので、最低でも敷き布団をめくり、布団と床の間にこもった湿気を飛ばしてください。布団を直接床に敷くときは、床面との間にすき間を作り、通気性をアップすることが大切なポイントです。湿気がこもりにくくなるすき間の作り方に関しては、後ほど【3.汗から布団を守る方法】で説明するのでぜひチェックしてください。
2-2.天日干しの方法
汗をかいた布団のお手入れは、天日干しが最も効果的です。天日干しをする際は、午前10時~午後3時までの日が当たる時間帯に干してください。表も裏もしっかり乾かすことがポイントです。ただし、布団の素材によっては、直射日光に弱いものもあるので注意しましょう。布団の種類別に、天日干しのポイントを以下にまとめました。
- 綿:1週間に2回、3~4時間陰干しする
- 化繊:1週間に1回、2~3時間
- 羊毛:1か月に2回、2時間陰干しする
- 羽毛:1か月に1~2回、夏30分・冬1時間陰干しする
2-3.エアコンで乾燥させる
夏は、エアコンを使用して布団を乾燥させましょう。室内用布団干しやソファーなどに布団を乗せ、エアコンの冷房で2~3時間ほど冷風を当ててください。ソファやイスに布団を乗せる場合は、布団がM字型になるように干すのがポイントです。また、空気の通り道がないと除湿効果が下がってしまうため、布団の下にはものを置かないようにしてください。室温が下がると同時に、布団の湿気が除去できる一石二鳥の方法といえるでしょう。
2-4.布団乾燥機を使う
室内で乾かすときは、布団乾燥機がおすすめです。雨の日・夜間・花粉シーズンなどに大活躍するでしょう。しかし、布団乾燥機を使用する際は、換気することがポイントです。吸い取った湿気が室内に発散され、部屋に湿気がこもり、再び布団にこもる傾向があります。窓を開けての換気ができない場合は、エアコンの除湿機能を使いましょう。
2-5.布団を洗う
思いきって布団を洗うのも、寝汗を除去する方法です。洗濯できる布団だけ、自宅の洗濯機で洗うことができます。ウォッシャブルの布団を洗濯機で洗う場合は、布団がぴったり収まる寝具用のネットに入れてください。布団を縦三等分に折り、くるくる巻いてネットに入れ、洗剤はおしゃれ着洗い用の中性洗剤を使いましょう。洗濯コースは、毛布コースまたはドライコースに設定します。ただし、洗濯できない布団は、クリーニングに出してください。無理に洗おうとすると、布団を傷める原因となるので要注意です。
3.汗から布団を守る方法
清潔な布団を維持し続けるため、汗から布団を守る方法をチェックしておきましょう。
3-1.汗取りシートを敷く
布団の下に汗取りシート・パッドを敷いてください。大型家具店・雑貨店などで安く購入することができます。汗取りシート・パッドは、肌ざわりがよく、快適な睡眠が維持できるでしょう。寝汗の吸収を防ぐことができるため、布団を寝汗から守ることができます。防水加工・竹炭入りの除湿シートなど、種類はさまざまです。
3-2.すのこなどを使用する
通気性をアップするためにおすすめしたいのが、「すのこ」の使用です。100円均一ショップ等で手に入るすのこを、布団の下に敷いてください。敷き布団の下に敷くことで、床と敷き布団の温度差による結露も防止できます。空気の通り道ができるので湿気をうまく逃がすことができるのです。折りたたみ式のすのこを使えば、干すときも便利でしょう。
3-3.除菌・雑菌スプレーを使う
エアコン干しをする前などに、除菌・雑菌スプレーをかけると臭い対策になるのでおすすめです。スプレーをかけるときは、布団から20~30cmほど離し、表面が全体的に少し湿る具合が目安となります。爽やかな柑橘(かんきつ)系のスプレーもあるので、お気に入りの香りを選んでください。ただし、水洗い不可の表示があるもの・防水加工してあるものは、色落ち・シミがつく傾向があります。事前に、目立たない部分で試してから使ったほうが良いでしょう。
3-4.適切な環境を保つ
寝る部屋の環境を整えることも大切なポイントです。湿度が50%を上まわると汗をかきやすくなるため、湿度をコントロールしましょう。夏場はエアコンをつけっぱなしにすることが多いと思いますが、室内の温度を一定にする際は「除湿機能」を使ってください。除湿によって、快適な睡眠が手に入ります。
4.寝汗の対処法
では、寝汗をかかないためにできることは何があるのでしょうか。
4-1.寝汗の原因にアプローチする
前述したとおり、寝汗は生理現象の1つですが、生活やホルモンバランスの乱れ・ストレスなどが大きく関係しています。ストレスを溜めない・生活リズムを整えることが、1番の寝汗対策です。ストレスを感じている方は、風呂にゆっくり浸(つ)かってみてください。自律神経が安定しリラックスできます。そして、昼夜逆転生活を送っている方は、できる限り正しく寝起きして、生活リズムを整えてください。
4-2.吸湿性の高い寝具を選ぶ
寝具類を吸湿性能のいいものに買い替えるのも対処法の1つです。吸湿性のいい布団や寝具にすると、布団内部の湿度上昇をある程度抑えることができます。また、夏には、ひんやり感のある接触冷間の寝具を選ぶことで、体温を下げる働きを補助してくれるでしょう。さらに、寝汗で汚れやすいので、頻繁に洗濯できるものを選ぶのも大切なポイントです。
4-3.寝る前にコップ1杯の水を飲む
寝汗をかく人は、汗を抑えようとして寝る前の水分を控える傾向があります。しかし、水分を控えると、ベタベタとした汗をかくようになるのです。布団にベタベタした汗がつくと睡眠の妨げになるため、寝る前にコップ1杯分の水を飲みましょう。水を飲むだけで汗のベタつきがなくなり、寝汗の臭いが気になるなくはずです。
4-4.吸湿性のいいパジャマを着る
寝汗対策は寝具類だけでなく、直接身に着けるパジャマも関係しています。寝汗をかく人は、吸湿性のいいパジャマがおすすめです。たとえば、シルク・綿のパジャマなど天然素材でできているものは吸湿性が高いでしょう。また、吸汗・速乾性に優れたパジャマは汗をかいてもサラサラでドライに保ち続けることができます。ガーゼ素材は吸汗性に優れ乾きも早いので、おすすめです。
5.寝汗に関してよくある質問
寝汗に関してよくある質問を6つピックアップしてみました。
Q.悪い寝汗は病気に関係しているのか?
A.ひどい寝汗から考えられる病気は、自律神経失調症・パセドウ病・結核・白血病・肝機能障害です。寝汗対策をしても一向に改善されない場合は、一度受診したほうが良いでしょう。まずは、寝室の環境・寝具類・ライフスタイルを見直すことが大切です。
Q.布団を干せないときのはどうしたらいいのか?
A.布団乾燥機を使用するほかに、立てかけておく方法があります。寝汗で水分をたっぷり含んだ布団をそのまま床に置いて使い続ければ、床まで濡(ぬ)れ、布団にカビ・雑菌が繁殖するでしょう。その日に吸い込んだ水分は、その日のうちに蒸発させることが重要です。布団を使用した後は、折りたたみ式のすのこや、室内布団干しに立てかけてくださいね。
Q.自分で布団を洗う際の注意点は?
A.まずは、布団についている洗濯表示を確認し、洗えるタイプかどうかチェックしてください。そして、洗濯機と布団のサイズも確認しましょう。たとえば、5kgサイズの洗濯機ならシングルサイズ、7~8kgの洗濯機ならセミダブルサイズの布団が洗濯できます。容量以上の布団を洗濯してしまうと、布団が傷むだけでなく、洗濯機の故障原因となるので注意が必要です。
Q.寝汗対策ができる寝具の素材が知りたい
A.吸水性・吸放湿性・通気性・耐久性が優れている素材がベストだといわれています。これらの性質に優れている素材は、麻・テンセル・綿(コットン)です。特に、テンセルは吸水性・吸放湿性に優れており、シルクのような扱いにくさがありません。
Q.押し入れなど布団の収納場所にも気を使うべきか?
A.押し入れなどにも湿気が溜まるので、除湿剤を活用して湿気対策をしてください。また、すぐに収納するのではなく、寝汗で含んだ水分を乾燥させてから押し入れに入れるのがベストです。収納場所の湿気対策をきちんとしておけば、布団のカビ・雑菌対策につながるでしょう。
Q.おすすめのダニ対策は?
A.布団の湿気で出てくる問題が「ダニ」です。布団がジメジメするほどダニが繁殖しやすくなります。天日干しでダニは死滅すると思われがちですが、温度が低いので死滅しません。そのため、ダニ対策としては、専用機能付きの乾燥機や掃除機を使用してください。ダニは熱風に弱い傾向があるので、ドライヤーで熱風をかけてから乾燥機・掃除機を使うのも良いでしょう。
まとめ
寝汗でジメジメした布団は居心地が悪く、快適な睡眠の妨げとなります。そのまま放置すると、ダニ・カビ・雑菌が繁殖し、不衛生な環境になってしまうでしょう。寝汗で水分を含んだ布団は、乾燥で湿気を蒸発させ、通気性の良い場所で使用するのが基本です。天日干しが最も効果的といわれていますが、室内で干す場合はエアコンを使用するのも方法の1つとなります。また、寝汗をかかないように寝具類を吸湿性のいいものに替えたり、生活バランスを整えたりするのも大切なポイントです。この機会に、自分自身の生活を見直しましょう。